Cult of Crimson Bat
Moon 

クリムゾン・バット

赤の女神の乗騎

 Chaos

  1. 神話と歴史
  2.  クリムゾン・バットは、以前は普通の動物であったが、「大暗黒」の時世界に侵入してきた混沌の奔流により恐るべき変異を遂げさせられた。バットは混沌の軍団を構成する無数の恐怖のひとつとなったのである。バットは「神々の戦い」最後の戦闘で混沌の軍勢が壊滅した時にも生き残り、混沌の力の悪夢として「英雄界」に取り憑いた。
     第3期に、「赤の女神」は自分の民を残して古の神々を尋ね、神格を得るためにその神殿の中に自分の場所を築き上げた。彼女がこのヒーロークエストに出ている間に、強力な敵の支配者らは攻撃の好機を掴んだ。彼らの軍勢は、彼女の国の首都に集結した。この攻城戦のクライマックスに、女神はバットに乗って帰還した。この戦いはルナーの勝利に終わり、以後ずっと「第一回混沌会戦」として知られている。これによって、バットはルナーの混沌のシンボルとなり、帝国の敵からは嫌悪され、そればかりかルナーの信徒からも疑いを持たれてきた。
     クリムゾン・バットのカルトは、死後についてほとんど何の関心も持っていない。一般大衆は、バットの崇拝者の魂はその死後呪われると信じている。誰もが、バットに食べられた者、あるいは物は全て、その肉体も魂も共に完全に失われてしまうことを知っている。バットの胃袋の中での死は単なる死ではなく、完全な破滅を意味するのである。これは、バットが引き起こす恐怖の大きな原因になっている。
     バットのルーンは「月」及び「混沌」である。

  3. カルトの生態
  4.  クリムゾン・バットとその司祭たちは、「ルナー魔術学院(Lunar College of Magic)」の一員である。バットはルナー帝国にとって、戦争の兵器して極めて重要である。その能力は、少なくとも敵に対する精神的効果──単にバットが存在するだけで潜在的な反乱を未然に抑制する──という以上のものである。数少ないバットの崇拝者らは、この生き物と共に旅してまわる。
     このカルトは本当の意味での聖祝日を持たないが、毎週「黒の日」と「死の日」(一般のゼイヤラン暦では「水の日」と「土の日」)にバットに餌をやらねばならず、さもなければ大恐慌が起こる。

  5. 世界におけるカルト
  6.  バットは邪悪な存在である。ルナーの市民ですら、それを否定しはしない。しかし、その邪悪がゆえに、バットはルナー帝国に大いなる善をもたらすのであり、ゆえにその存在は正当化されている。バットの司祭らは「ルナー魔術学院」の重要なオフィサーであり、女神の聖なる乗騎に騎乗する。少なくとも、市民的・軍事的権威の双方が、このカルトと深く関わっているであろう事は明らかである。
     ルナー帝国が戦争状態にあるとき、クリムゾン・バットは戦闘の最前線に現われる。平時には、バットはその略奪による被害が少なくてすむような、より植民の進んでいない辺境の王国群に駐屯している。バットは常に動き回っており、土地から土地へと旅して「赤い月」の力を凄まじいまでに誇示する。
     バットはそれ自身の寺院として機能する。その司祭らは、その数が少ないのにも関わらず、使用可能な全ての神性魔術をそこから受け取っている。バットは社を持たない。
     バットのカルトの規模は、司祭や入信者らが死亡したり、自分の神の餌となったりするたびに変化する。概して、カルトは10〜20人の司祭と15〜100人の入信者から成る。その全員がバットと共に旅してまわるのである。

  7. 平信者
  8.  平信者になることを希望する者は、ルナー帝国の力を認めている者でなくてはならず、加えてバットの餌として知的生物を捧げなくてはならない。平信者は、入信者の餌捜しを手伝わなくてはならない。彼は、受け入れられた時に、1ポイントを残して全ての魔力ポイントをバットに捧げなくてはならない。
     平信者としての身分は恒久的なものではない。続く週ごとに、平信者は新たな生け贄を捧げなくてはならず、さもなければその地位は剥奪される。バットが放浪するために、普通こうしたことは問題とならず、多くの平信者の地位は都合がつき次第消滅する。
     見返りとして、平信者はカルト外の全員が喰われるまではバットに食べられることはない。

  9. 入信者
  10.  入信者は平信者の中から選ばれるわけではない。入信しようとする者は、司祭による推挙がなければならない。志願者は、通常の条件全てを満たさなくてはならず、〈浄化〉〈捜索〉〈追跡〉〈武器攻撃〉の4つの技能について、その能力を試さなくてはならない。志願者は、精霊魔術の《減速》または魔道呪文の《足かせ》を知っていなくてはならない。彼は健常体(good shape, いわゆる「いい体」でしょう)でなくてはならず、不具や白痴であってはならない。彼はバットに1ポイントのPOWを捧げ、またあらゆる世俗的な所持品をカルトに奉納しなくてはならない(それらを所持し、使い続けることはできる)。
     入信者は、バットの司祭らに服従する。彼らはバットの食料を捜し出し、司祭に同行して遠征狩猟に出かけ、また必要な時は平信者を受け入れる。入信者はルナーの武装戦力の一員となり、永久的に不具にならない限り、20年間カルトに仕えるまでは死による制裁なしにカルトを抜けることはできない。彼は、「黒の日」及び「死の日」ごとに、1ポイントを残して全ての魔力ポイントをバットに捧げなくてはならない。
     入信者は、可能な限り全ての平信者が喰われるまではバットの餌とされることはない。司祭たちは暇を見ては入信者らを訓練するので、彼らの能力は磨き上げられる(* ここには時間・収入に関する義務が書いてないが、他の記述から判断するに、司祭と同じく時間・収入共に100%を捧げるものと思われる。ゆえに、入信者は他のカルトに加わることはできない)。

    クリムゾン・バット特殊技能

    〈バット制御〉 Bat Mastery 魔術分野(00%)
     この技能によって、使用者は通常のコンディション下にあるバットをコントロールできるようになる。この技能の使用を試みることができるのは1度に1人だけであり、成功した場合丸1日のコントロールが可能になる。バットが食料の不足によって狂暴化に至った場合、この技能は何の役にも立たない。しかし、バットが食事を取って再び落ち着いた後ならば、この技能でバットをコントロール下に戻すことができる。
     この技能は経験によって成長させることもできるが(周辺の住民はしくじった学徒を応援してはくれないだろうが)、普通は司祭らによって訓練される。この技能を研究もしくは訓練しようとする者は、バットに同行していなくてはならない。

  11. 司祭
  12.  司祭らはバットの主人(マスター)である。彼らは戦いの間バットに騎乗し、ルナー帝国の求めるところに従ってその行動をコントロールする。彼らはバットの付属器官であり、それに必要なものを満たすことが全てに優先する。
     司祭の志願者は、90%以上の〈バット制御〉技能を持っていなくてはならない。受け入れられるためには、1d100でPOW×2に今まで個人的に捕らえてバットに与えた知的生物(intelligent being, 精霊なども含む)の数を加えた値以下を出さなくてはならない。司祭は、己の全てをバットに捧げなくてはならず、収入の100%と時間の100%を奉仕に充てなくてはならない。
     彼らは、さらに他のカルトの一員となることもできるが、バットは常に彼らの中で最も重要なカルトとして存在し、そして彼らは常にバットの元にいなくてはならず、都合のつく時のみ他の寺院で礼拝する。司祭はバットに魔力ポイントを与える必要はないが、それを禁じられているわけではない。司祭らは、全ての入信者がバットの餌とされるまでは食べられることはない。(司祭は入信者と異なり、友好カルトの時間・収入に関する義務を免除されるため(カルトブックp26参照)、二重入信も可能。)

    一般神性魔術:《延長》《隔離》《精神結合》《魔力消散》
    特殊神性魔術:《吸収》《グロースポット》《盾》《魔力吸収》

    クリムゾン・バット特殊神性魔術

    《吸収》 Absorption 1ポイント
     遠隔、残照、複合可、再使用可
     この呪文は、以下の2つの点を除いて、通常の「ルーンクエスト」の呪文(*マジックブック21ページ参照)と同じように働く。第1に、この呪文は通常の1.5倍の魔術を遮蔽する(端数は全て切上げ)。即ち、1ポイントにつき2ポイントの神性魔術、3ポイントの精霊魔術もしくは魔道を防ぐのである。第2に、吸収された魔力ポイントは全て直接バットに送られ、術者がそれを使用することはできない。

    《グロースポット》 Glowspot 3ポイント
     自身、残照、複合不可、再使用可
     この呪文は、術者を半径20メートル以内を照らす燃え立つ深紅の光で輝かせる。この輝きの中で投射されたルナー魔術は、「満月」の日に投射された時のように作用する(*七母神の神性魔術(《反射》など)についても同様の効果があると思われる)。

    《魔力吸収》 Power Drain 2ポイント
     遠隔、残照、複合不可、再使用可
     この呪文の標的は、ヴァンパイアのように接触によって魔力ポイントを奪い取る能力を得る。戦闘中かどうかに関わらず、標的が相手に接触することに成功したならば、彼は自分の魔力ポイントで犠牲者の魔力ポイントに対して抵抗ロールを行う。犠牲者を打ち負かしたならば、犠牲者は1d6の魔力ポイントを失い、それらは直接クリムゾン・バットに流れ込む。

  13. 友好カルト
  14. 始祖混沌
     全ての混沌の源は、その継嗣に《混沌の諸相》の呪文を提供する。
    赤の女神
     クリムゾン・バットの司祭は他のルナーカルトに加わることができるが、バットは常に彼らの中で最も重要なカルトであり続ける。彼らは、その資格があるならば、赤の女神の入信者となることができる。

  15. その他の注意事項
  16. バットを養う

     クリムゾン・バットは、「黒の日」及び「死の日」ごとに、少なくとも合計5,000ポイントのINT及びPOWを食べなくてはならない。バットの餌とされた生物のINTとPOWを足した値が、その合計に加えられる。平均して、バットに餌をやる日ごとにおよそ220人の人間がいれば十分で、最低限必要な5,000ポイントに対してそれぞれが23〜24ポイントを提供することになる。もちろん、500頭以上の家畜でも同様に飢えを満たすことができる。

    バット空腹表

    バットが満腹するために必要な食料ポイント
    月齢1日失敗両日失敗
    上弦三日月10,000 15,000
    上弦半月20,000 30,000
    満月40,000 60,000
    下弦半月80,000120,000
    (「黒の日」は新月、「死の日」は暮月にあたります)

     餌をやる「黒の日」もしくは「死の日」にしくじった場合、ルナー帝国は混沌の代価を支払うことになる。バットは姿を変え、物質界に留まるための能力を失い始める。バットが満腹になるまで、その飢えは何らかのルナーカルトの入信者を餌とすることによってのみ満たされる。喰わなければならない食料の量は、前項の「バット空腹表」に挙げてある。1日のうちに飢えを満たすのに十分なだけ入信者を食べさせることができなかった場合、喰われたこれらの入信者の数はバットを満足させるための数に加えられるが、必要な食料の合計は通常通り増え続ける。例えば、バットが「黒の日」に餌を与えられなかったとすれば、次の上弦三日月に表の分だけ喰ったとして、その次の上弦半月には満足するために15,000食料ポイント分の入信者を喰う必要がある。
     バットが次の下弦半月の日の日没に餌を与えられなかった場合、バットは英雄界へ帰ってしまう。バットが満腹せずして英雄界に戻ることを余儀なくされた場合、バットは物質界に留まっていたことによるフラストレーションから逆上する。1日で、バットは英雄界から直接人間世界を攻撃する能力を取り戻す。バットは、英雄界に戻った後はいつまでも、目下の飢えを満たすために必要な食料を略奪する。
     バットの崇拝者らは常に移動し続ける──そうしないことには飢餓の危険を招いてしまうのである。地方領主は、通例バットに餌をやるのを手助けし、バットが旅を続けられるようにする。牢が空になり、奴隷が檻ごと殺し尽くされると、野良猫や野良犬が駆り集められる(* それで済むとは思えないが)。

    バットを殺す

     バットの物理的な肉体が破壊されるか、または餌が与えられなかった場合、バットは英雄界に引き戻され、赤の皇帝自身による困難な儀式を行ってそこから召喚しなければならなくなる。再召喚の儀式の一部として、現在の大司祭がバットの餌とされ、その後で新たな大司祭が選ばれる。

    周辺住民

     クリムゾン・バットは辺境を徘徊しており、大体1週間おきに新たな地域に滞在する。バットはもう何年間もルナー中部地方に入ったことはない。バットがある地域に入ると、人々はおおむね以下の4つのうちどれかの反応を示す。
    1. 可能な限りの家畜と共に即刻逃げ出し、バットが去ってから戻って来る:多くの場合、彼らは自分たちの財産が没収されたかまたは破壊されたか確かめるため戻って来るのである。
    2. 隠れる:しかし、このカルトは人々を追跡し、見つけ出すエキスパートである。
    3. 捕らえられた場合、平信者としてカルトに加わり、他の者を裏切る:バットは必要ならば平信者をも食べるため、もともと人口が少ない場合や、誰もがカルトに加わった時には、この策の見返りは不確実なものとなる。
    4. 一部の者がカルトと戦う:不幸なことに、このカルトはよくあるような彼らの敵と比べて非常に強力であり、そして常にクリムゾン・バットそれ自体という恐るべき切り札と共にいるのである。

    多くの人々は、このカルトによって、被害が最小限で済むよう協力することに納得させられる。人々は、好ましくない人物や、他の土地からの交易商人、少数派のカルトの信者、病んだ牛などを駆り集め、捧げ物が十分であることを祈るのである。

    グロースポット

     バットは力、すなわち赤い月のパワーを放出している。その赤い輝きの中にいる全てのルナー魔術師は、あらゆる魔術(ルナー魔術及び一部の神性魔術)を、月が満ちている場合と同じように使用することができる。この赤い輝きは、バットの周囲およそ半径20キロメートルに渡って伸びている。

  17. 外見的描写
  18.  クリムゾン・バットは翼長90メートル、体重およそ1,000トン、体長は頭から尻尾まで大体20メートルである。

TALES OF THE REACHING MOON No.8/The Chaos Feature!より
Cult of the Crimson Bat is (c)1992, Sandy Petersen and Greg Stafford
1993,09,30 TRANSLATED BY J.YOKOYAMA


その他のカルト