やはり当時は定命の者で、赤の女神について探索を続けていたヤーナファル・ターニルズ、イリピー・オントール、ジャーカリールの三人の下にも、ディーゾーラは前触れもなく現れて協力を申し出た。これに対し、まずヤーナファル・ターニルズが剣を突きつけた。それに対して彼女は剣に対して抵抗せず、穏やかに事の理非を語ることによって剣を納めさせた。次にイリピー・オントールが賢女と名高い彼女の知識を試した。この試みは最初はイリピー・オントールがその知識の量において勝るところを見せたが、直後にその知識が必要になった際には、ディーゾーラが知恵をもってイリピー・オントールに先んじてみせた。そして二人がディーゾーラを試している間に、ジャーカリールが彼女の素性と技と魔術の全てを盗み見ようとした。そして難なく影に潜み盗み見ることはできたが、その懐の深さに逆に迷い込むことになって挫折した。そしてディーゾーラは三人と互いの技を称え会い、彼女の”絆”をつむぎ出す魔術による盟約を結んだ。
その後の赤の女神の再生と以後のカルトと帝国の発展において、彼女は卓越した調停者であった。またイリピー・オントールの知識と彼女の知恵は常に適切な判断を七母神と女神の信望者にもたらした。ダンファイブ・ザーロンやティーロ・ノーリといった外部からの者を引き入れなければならなかったときも、イリピー・オントールが必要な条件を見繕い、ジャーカリールが候補者を探し出し、ディーゾーラが最後に見極めた。
赤の女神の降臨後の”青の城の戦い”の後、赤の女神と七母神が中空にその居場所を確立しようとしたときのことである。破れて場所を分け与える事になったオーランスは最後の意地で、中空における場所は用意したものの、赤の女神の住処を支えるための大気中の風の一族の者もすべて引き払わせた。そのために赤の女神とその眷属は中空に居を定めることができないところであった。そこにディーゾーラが女神の前に名乗り出て、秘密の大地の魔術をもって大地の力に逆らって赤の月を大地から引きはがし、その上空に静止させた。これが赤の月の昇天である。
帝国の展開において二つの問題が発生した。一つは都市の住人の生活の問題。で、都市に人口が集中するようになると、その生活において様々な問題が出るようになった。その改善のための様々な術をディーゾーラはカルトを通じて伝授した。もう一つは貴族達の争いである。貴族間の争いに対しては、”絆”の魔術により、相互の協定の順守を促すようにした。また、芸術に関して語り合うサロンを作り出した。これにより、帝国は多くの内紛の火種を抱えながらも、400年もの間統一国家として成立してきた。
ディーゾーラは様々な治療用具や家庭用品を膝の上に載せて腰掛けた中年の女性として描かれる。彼女の髪は、彼女自身の特別なルーンがきっちりと彫り込まれたギザギザ型の櫛で飾られており、それが古代の雰囲気を醸し出している。
カルトにつながりのあるルーンは「月」「真実」「ディーゾーラ」である。「ディーゾーラ」のルーンは独自の物であり、布地の繊維のように重なり合った斜めの6本の線によって表される。これはディーゾーラ独自の大地の魔術と絆の力、根元的には大地から得たつなぎ止める力を表す。
ディーゾーラに入信するためには、まず帝国市民でなければならない。しかし生まれつきそうである必要はなく、解放奴隷でも良い。事実、専門技術で仕えていた解放奴隷が医者として身を立てようとする物も多く、都市部ではチャラーナ・アローイより人気のある癒しのカルトである。チャラーナ・アローイはもっぱら農村や保守的なイェルム系貴族の土地でよくみかけられる。
後はルーンクエストの通常の入信者のルールと同じである。要求される技能は、〈応急手当〉〈雄弁〉〈人間知識〉〈世界知識〉である。
入信者は自分の医術等の仕事を持つ傍らカルトの技術と魔術の訓練をしている者と、司祭を目指して国家の保護を受けながら神殿に住み込んでいる者の二種類に分かれる。いずれも、医術や交渉術やその他の知識をもって、帝国市民の生活を助ける義務がある。庶民の世話をするのは前者の自分の仕事を持っている入信者が大半である。神殿勤めではパンの配給の他に、貴族や芸術家の集いに場所を提供したり、歓待をしたりする役目も担う。少数派ではあるが、神自身の逸話に習っての旅の生活を送る入信者もいる。
また、ディーゾーラの入信者は何らかの形で立ち会った話し合いにおける秘密を厳守しなければならない。この義務を放棄するには、最低でも司祭以上の許可が必要である。これは、ディーゾーラの信者の立ち会う話し合いは、庶民のもめ事から貴族の密約まで、いずれも当事者やその周囲に非常に深刻な影響を持つ物だからである。
| 精霊魔術: | 《魅惑》《治癒》《スタミナ》《惑い》《修理》《にかわ》 |
| 一般神性魔術: | 《(カルト精霊)支配》《神託》《精神結合》《聖別》《呪文伝授》《隔離》《ディーゾーラ礼拝》 |
| 特殊神性魔術: | 《治癒精霊支配》《肉体の治癒》《四肢再生》すべての《(能力値)回復》《蘇生》《引力》《精神破壊》《協定》 |
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| 製作: | 上西 将文(ハンドルネーム:宇津見) |
| 参考・引用文献: | 『グローランサの神々』ホビージャパン |