Deezola

ディーゾーラ Deezola

つなぎとめる者(The Binder Within)、七母神の一柱

  1. 神話と歴史
  2.  定命の者であった頃のディーゾーラはアラクニー・ソラーラの秘密めいた女祭であり、主にアーコス川流域を旅して回る癒し手にして賢女であった。彼女は機織りの達人であり、旅の先々でその技とともに、人々に様々な助けを行った。家事や農作業の改善、夫婦仲の取り持ちから、貴族の争いの仲裁や、疫病の流行の防止までにいたり、これらの行いは、現在も一般によく親しまれる説話となっている。また、ディーゾーラは優れた歌い手にして詩人であり、ゆく先々に様々な詩を残している。一方、彼女の善意を裏切り、人々を裏切った者が彼女の秘めた魔術によって恐ろしい災いに襲われる話も、子供を寝かしつける際の話としてよく広まっている。

     やはり当時は定命の者で、赤の女神について探索を続けていたヤーナファル・ターニルズ、イリピー・オントール、ジャーカリールの三人の下にも、ディーゾーラは前触れもなく現れて協力を申し出た。これに対し、まずヤーナファル・ターニルズが剣を突きつけた。それに対して彼女は剣に対して抵抗せず、穏やかに事の理非を語ることによって剣を納めさせた。次にイリピー・オントールが賢女と名高い彼女の知識を試した。この試みは最初はイリピー・オントールがその知識の量において勝るところを見せたが、直後にその知識が必要になった際には、ディーゾーラが知恵をもってイリピー・オントールに先んじてみせた。そして二人がディーゾーラを試している間に、ジャーカリールが彼女の素性と技と魔術の全てを盗み見ようとした。そして難なく影に潜み盗み見ることはできたが、その懐の深さに逆に迷い込むことになって挫折した。そしてディーゾーラは三人と互いの技を称え会い、彼女の”絆”をつむぎ出す魔術による盟約を結んだ。
     その後の赤の女神の再生と以後のカルトと帝国の発展において、彼女は卓越した調停者であった。またイリピー・オントールの知識と彼女の知恵は常に適切な判断を七母神と女神の信望者にもたらした。ダンファイブ・ザーロンやティーロ・ノーリといった外部からの者を引き入れなければならなかったときも、イリピー・オントールが必要な条件を見繕い、ジャーカリールが候補者を探し出し、ディーゾーラが最後に見極めた。
     赤の女神の降臨後の”青の城の戦い”の後、赤の女神と七母神が中空にその居場所を確立しようとしたときのことである。破れて場所を分け与える事になったオーランスは最後の意地で、中空における場所は用意したものの、赤の女神の住処を支えるための大気中の風の一族の者もすべて引き払わせた。そのために赤の女神とその眷属は中空に居を定めることができないところであった。そこにディーゾーラが女神の前に名乗り出て、秘密の大地の魔術をもって大地の力に逆らって赤の月を大地から引きはがし、その上空に静止させた。これが赤の月の昇天である。

     帝国の展開において二つの問題が発生した。一つは都市の住人の生活の問題。で、都市に人口が集中するようになると、その生活において様々な問題が出るようになった。その改善のための様々な術をディーゾーラはカルトを通じて伝授した。もう一つは貴族達の争いである。貴族間の争いに対しては、”絆”の魔術により、相互の協定の順守を促すようにした。また、芸術に関して語り合うサロンを作り出した。これにより、帝国は多くの内紛の火種を抱えながらも、400年もの間統一国家として成立してきた。

     ディーゾーラは様々な治療用具や家庭用品を膝の上に載せて腰掛けた中年の女性として描かれる。彼女の髪は、彼女自身の特別なルーンがきっちりと彫り込まれたギザギザ型の櫛で飾られており、それが古代の雰囲気を醸し出している。
     カルトにつながりのあるルーンは「月」「真実」「ディーゾーラ」である。「ディーゾーラ」のルーンは独自の物であり、布地の繊維のように重なり合った斜めの6本の線によって表される。これはディーゾーラ独自の大地の魔術と絆の力、根元的には大地から得たつなぎ止める力を表す。

  3. カルトの生態
  4.  ディーゾーラは癒し手、都市の生活の保護、帝国内の権力者間の協定の締結者、芸術など幅広い分野を取り扱っている。また、制約を破った者に対する制裁も司る。
     ディーゾーラの敵は帝国の敵であるが、軍人のヤーナファル・ターニルズや密偵のダンファイブ・ザーロンのように積極的に関わろうとはしない。七母神内でも特に対立する者はなく、もっぱら中立の立場で七母神の各下位カルトの連帯を取り持つ。

  5. 世界におけるカルト
  6.  ディーゾーラを崇める者はルナー帝国の市民である。都市生活における庇護は帝国市民であれば誰でもうけられる。これは主にパンの配給やあるいは住居の問題、その他の生活上の問題の相談を引き受ける。貴族や芸術家の庇護者でもあり、サロンの役割を果たす。入信者は、医者や地区の知恵者、神殿での修行者である。司祭にもなると、強力な大地の魔術や、政治的協定に携わることになる。
     また、ディーゾーラのカルトには秘密の暗殺団が存在する。これはカルトの上層部のみ知る集団で、ダンファイブ・ザーロンやジャーカリールのカルトの協力も得ている。この暗殺団の標的は帝国内の裏切り者である。しかし、暗殺が行われることは滅多になく、カルトや他の七母神下位カルト、そして帝国最上層部の秘密かつ高度な合意がなされたときにのみ執行される。なお、帝国の外敵の暗殺を行うのは、ダンファイブ・ザーロンやジャーカリールのカルトの仕事である。当然の事ながらこの暗殺団は一般、およびカルトの構成員の大部分には噂にのぼる程度である。噂においては女神の恐怖の面として恐れられているが、神聖であって軽蔑はされていない。
     ディーゾーラの寺院は、七母神が崇められているところでは、大抵みられる。社では《肉体の治癒》を教えている

  7. 入信者
  8.  ディーゾーラのカルトの与えるパンの配給などのサービスは、ルナー市民であればだれでも帝国の法に従い受けられるため、とくに入信する必要はない。他の下位カルトもそうだが、通常は七柱の神の集合体としての七母神のカルトに入信する。貴族や芸術家もやはり帝国の物であれば、芸術や談義の集いの場を提供される。
     入信者となるのは、ディーゾーラの魔術、すなわち癒しや絆の魔術を司ることを希望する者である。

     ディーゾーラに入信するためには、まず帝国市民でなければならない。しかし生まれつきそうである必要はなく、解放奴隷でも良い。事実、専門技術で仕えていた解放奴隷が医者として身を立てようとする物も多く、都市部ではチャラーナ・アローイより人気のある癒しのカルトである。チャラーナ・アローイはもっぱら農村や保守的なイェルム系貴族の土地でよくみかけられる。
     後はルーンクエストの通常の入信者のルールと同じである。要求される技能は、〈応急手当〉〈雄弁〉〈人間知識〉〈世界知識〉である。

     入信者は自分の医術等の仕事を持つ傍らカルトの技術と魔術の訓練をしている者と、司祭を目指して国家の保護を受けながら神殿に住み込んでいる者の二種類に分かれる。いずれも、医術や交渉術やその他の知識をもって、帝国市民の生活を助ける義務がある。庶民の世話をするのは前者の自分の仕事を持っている入信者が大半である。神殿勤めではパンの配給の他に、貴族や芸術家の集いに場所を提供したり、歓待をしたりする役目も担う。少数派ではあるが、神自身の逸話に習っての旅の生活を送る入信者もいる。
     また、ディーゾーラの入信者は何らかの形で立ち会った話し合いにおける秘密を厳守しなければならない。この義務を放棄するには、最低でも司祭以上の許可が必要である。これは、ディーゾーラの信者の立ち会う話し合いは、庶民のもめ事から貴族の密約まで、いずれも当事者やその周囲に非常に深刻な影響を持つ物だからである。

    精霊魔術: 《魅惑》《治癒》《スタミナ》《惑い》《修理》《にかわ》

  9. 紡ぎ手
  10.  紡ぎ手はディーゾーラのカルトの司祭である。
     紡ぎ手になろうとする者は、最低でも五年間に渡って入信者として活動をし、優れた評価を得ている必要がある。その上で、入信時に必要な四つの技能全てと〈浄化〉が50%以上であり、加えて〈制約〉〈病気の治癒〉〈毒の治療〉のいずれか一つが50%以上であり、儀式的な機織り機を扱う〈製作(機織り)〉が30%以上必要である。さらに10ポイント以上の神性呪文を修得しておかなければならない。最後に、D100でPOW×3以下を出せば司祭として認められる。
     紡ぎ手は通常のルーンクエストの司祭のルールの特典と制限の両方を受ける。 紡ぎ手のほとんどは神殿勤めであり、もっぱら都市の民生の助言者としての活動や、貴族の談義(交友から政治的なものまで幅広く)の場を提供したり、協定の締結に立ち会ったり、芸術家たちをの活動を助けたりする。
     入信者にも言えることだが、紡ぎ手は破壊的な魔術の行使を極力避けるべきである。例えば《精神破壊》はディーゾーラの大地の魔術の破壊面を現す物であり、《引力》もまた力の象徴である。それらはいわば奥の手なのである。しかし、使うべき時には躊躇する必要はない。

    一般神性魔術: 《(カルト精霊)支配》《神託》《精神結合》《聖別》《呪文伝授》《隔離》《ディーゾーラ礼拝》
    特殊神性魔術: 《治癒精霊支配》《肉体の治癒》《四肢再生》すべての《(能力値)回復》《蘇生》《引力》《精神破壊》《協定》

  11. ディーゾーラ特種技能
  12.  ディーゾーラの特種技能は〈製薬〉〈病気の治療〉〈毒の治療〉の三つである。これはチャラーナ・アローイの物と全く同じ物である。

  13. ディーゾーラ特種神性呪文
  14. 《引力》 Gravitation
    1ポイント、遠隔、残照、複合可、再使用可
     この呪文はディーゾーラのつなぎ止める力を物理的に具現化した物であり、赤い月を中空につなぎ止めている力の現れである。効果は、術者の指定した地点を中心に強力な引力を発生させることで、使い道としては物品や人物をある場所に止めたり、空中に引き上げてそこから落とすことによってダメージを与えたりすることが考えられる。
     この呪文を使う際には、術者は「引力の発生点」「引力の方向」を指定しなければならない。
     「方向」は自由に決められ、指定した方向に45度の範囲で引力が働く。
     「発生点」の指定できる範囲は術者を中心にして決められ、複合したポイント数に制限される。1ポイントにつき6メートルである。また、肉眼ではっきり認識できる範囲内でもあること。「発生点」は空間でも物でもどちらに固定しても構わない。空間だと「発生点」は移動しないが、物だとそれが移動するのについていく。生物にかける場合には当然の事ながら抵抗ロールが必要である。
     引力の強さは1ポイントにつき10STRである。この強さは1メートル毎に1STR減少する。引力の範囲内にいる物は、引力が発生した時点で引力のSTRに対して自分のSTRで抵抗する必要がある。その場に踏みとどまり続けるならSTR+SIZである。失敗すると、1SRにつき3メートル「発生点」に引き寄せられる。成功しても失敗しても、引力の範囲内にいる者は毎ラウンドの終わりに抵抗ロールをしなければならない。失敗すれば「発生点」に引き寄せられ、体を使った行為は次のラウンドの間は一切できなくなる。
     最後に、術者自身が引力に巻き込まれるようなことがないように忠告しておく。

    《協定》 Agreement
    3ポイント、儀式(浄化)、複合不可、再使用可
     この呪文は、何らかの協定が結ばれる際に、その協定に対する不信感や軽視の念等を和らげることにより、協定が長い間守られるようにする物である。しかし、強制力は一切無い。
     この呪文は儀式魔術であり、対象は協定を結ぶ話し合いの場所であり、術者はホストの役回りになる。話し合いの過程がすなわち儀式の進行で、協定の締結が儀式の完了であり呪文の完成である。
     この呪文はルール的に明確な効果を現すことはできない。しかし、その効果は確かな物である。とはいえ、状況の大きな変化があれば協定は破られる。実際のプレイで使用する際には、紛争や訴訟の和解交渉の最終段階に成功判定を行い、成功したなら最終合意の際に〈雄弁〉〉〈いくるめ〉に+50%のボーナスを得ることによって表す。ゲームマスターの判断で交渉中のやり取りでボーナスとペナルティーを累積させてもよい。通常の成功よりも効果的成功や決定的成功の方が合意が長続きすることは言うまでもない。

  15. 友好カルト
  16. 赤の女神
    紡ぎ手は通常の手順で赤の女神の入信者になることができる。
    エティリーズ
    旅先で役に立つ《見張り》を再使用可で提供する。
    デンダーラ
    都市の住居に加護を与える《家の祝福》を再使用可で提供する。
    ヤーナファル・ターニルズ
    協定に強力な強制力を持たせるために使用する《誓言》を一回限りで提供する。

  17. 公式サプリメントとの相違について
  18.  ディーゾーラのカルトは、アバロンヒル社のRQサプリメントではデータが存在しない。そのために、この文書は今後の公式の扱いと異なるであろう部分が多い。このカルトを作成するにあたっても元々の情報が少なかったため、独自の解釈をかなり導入した。
     もっともこれらの状況は、これから発売されるであろう『Soliders of the Red Moon Player Book』『Soliders of the Red Moon GM Guide』『Runequest 4th Edition』』によって変化する可能性も高い。


注:この作品はルーンクエストの公式資料ではなく上西将文個人で作成したものです。したがって、Chaosium・AvalonHill・ホビージャパンの公式設定とは全く関係がありません。

 この作品の著作権は著者に帰属します。
 営利目的でない場合に限り複製を許可します。
 他の媒体への流通には著者の許可が必要です。
 この作品の使用は上記に明記してある範囲内で自由ですが、それによるいかなる損害の責任も著者は負いません。

製作:上西 将文(ハンドルネーム:宇津見)
参考・引用文献:『グローランサの神々』ホビージャパン


その他のカルト