The Cult Of Eiritha

 
アイリーサ

家畜の母

  1. 神話と歴史
  2.  巨人の戦い(Giants War)の前までは、アイリーサは世界に住む幸せな神の1柱に過ぎなかった。彼女は「大地の母」アーナールダと「獣の父」ハイキムの娘である、獣の女神(animal goddess)であった。彼女の好きな場所はジェナートの庭(Genert's Garden)に広がる平原(plain)であった。そこに彼女は娘たちと住んだ。娘はそれぞれ女神であり、友好的な動物の母でもあった。
     偉大なストーム・ブルが彼の民とやってきたとき、アイリーサはそれまでのすべての恋人との縁を切って、ストーム・ブルと結婚した。至福の時はすぐに終わりを告げた。まもなく巨人の戦い(War of the Giants)が彼らのもとに押し寄せてきて、「死(Death)」が世界に忍び寄ってきたのだ。
     ある日「死」がアイリーサを迎えにやって来た。しかし彼女を見つけられなかったため困惑させられていた。ストーム・ブルの息子である、オラーニ(Orani)という英雄が「死」と戦い、命を失いながらもその巨人の行動をを遅らせた。その間に、スーパーヒーローのターダ(Tada)が彼の民に巨大な穴を掘らせて、彼らの女神を大地の胎内に隠してしまった。「死」の目を欺くことはできたが、この時からアイリーサは二度と地上を自由に歩くことはできなくなった。
     大暗黒(Great Darkness)の間、アイリーサの子供たちはすべての定命の者から苦しみを受け、ゆっくりと死の意味を学んだ。この間に、ストームブルとアイリーサの息子であるワッハ(Waha)が生まれた。彼は両親の魔術のかけらを拾い集め、生き残っている人々に彼の魔術を教えた。彼の両親はどちらも世界に帰ってくることはできなかった。そのかわりに、ワッハは人々に「家畜の守り手(Herd Protectresses)」と呼ばれるアイリーサの娘たちの信仰と、すべての部族の創始精霊(Founding spirits)の秘密を知るワッハの信仰を教えた。

     アイリーサの信仰は曙の時代の間、グローランサの他の地方に広がっていった。そうして、遊牧民は「第一評議会」のために戦った。それらの土地では、大荒野やプラックスとの正式なつながりは残っていないが、現在でも彼女が崇拝されている。
     遊牧民はアイリーサを2つの形式で信仰する。1つは部族の守り手(tribal Protectress)の信仰である。そしてもう1つはパップスでしか見られない形式であるが、アイリーサそのものの信仰である。
     守り手は「家畜のアイリーサ(Herd Eiritha)」として信仰される。もっとも、部族の信者たちは彼女の名前の前に彼ら自身の好む動物の名前を加える。このようにして、彼女は「セーブル・アイリーサ」、「インパラ・アイリーサ」などと呼ばれる。この形式で彼女は遊牧民に信仰される。
     パップスは、大暗黒以前の名残を残す場所であり、大地の神々によるかつての偉大なジェナートのサイクル(Genaert Cycle)の哀れな生き残りが、この獣の女神との同盟によって生きのびてきた土地である。ここでは彼女は「パップスにおけるアイリーサ(Eiritha of the Paps)」もしくは単に「パップス・アイリーサ(Paps Eiritha)」と呼ばれる。
     女神は平原では偉大な統一的要素ではあるが、彼女は部族の間に絶対的な支配力を有するわけでも、それらを統一することが出来るわけでもない。そして一般的には、異なる部族を統一させることもできない。このように、このカルトは歴史の流れにほとんど影響力を持たない。

     アイリーサのカルトは信者に死後の持続する生を約束する。そして、彼女の定めた慣例を重んじ、厳守した信者は、死後の生において彼女に認知される。カルトは魂の周期的な転生を教え、生と生の間には司祭と選ばれた入信者は至福の楽園でいくらかの時を過ごすことができることを約束する。人間のカルトの者は死後、常に埋葬される。しかし、動物の場合には尻尾しか埋葬する必要はない(家畜人の場合は片手である)。女祭を埋葬するときには、ワッハの戦士は墓所で《穏やかな死》の祈りを詠唱し、女祭は家畜を生け贄として捧げ、その血を墓所に注ぐ。
     アイリーサのルーンは「獣」と「豊穣」である。

  3. カルトの生態
  4.  アイリーサは家畜の母(Mother of Herds)である。すべての牛の起源をたどると彼女に行き着く。大荒野(Wasteland)とペント(Pent)の家畜を飼う遊牧民は、毎日の生活を完全に彼女に依存している。平原から逃げ出すことができない限り、女神によって呪いをかけられたり追放されることは死を意味する。
     アイリーサはプラックスの遊牧民の女性のカルトである。下は戦士が略奪してきた花嫁からカーンの妻に至るまで、たいていすべての女性がアイリーサの秘密を互いに共有する。そしてこの点においては、彼女たちは平等である。
     アイリーサの信者は混沌にまつわるものを忌み嫌う。加えて、獣の魂をその母なる女神のもとに送るための適切な祈り(訳注:原文では単にproperであるが、 Cults of Prax と照らし合わせた結果 proper prayers の誤植と判断した)や礼拝を知らないで家畜を殺すすべての動物や人間を嫌う。これにはほとんどの肉食動物とプラックス人以外の人間が含まれる。
     たいていの大地のカルトと同じように、大聖日(most holy day)は大地の季の豊穣の週の土の日である。各期の豊穣の週の土の日は聖祝日(special day)である。毎週の祝日(holy day)には女祭による短い儀式のために時間が割かれる。

  5. 世界の中のカルト
  6.  アイリーサのカルトは遊牧民の間に莫大な力を及ぼしている。そして女祭は常に尊敬されている。セーブル・ライダーとモロカンスの部族では、彼女には他のすべての神に比べてより敬意が払われており、アイリーサの女祭は部族を治める女王でもある。他の部族では、直接に治めるわけではないが、大女祭は指導者の評議会において席の1つを占め、その言葉に部族の者は注意を払う。
    アイリーサは大荒野とプラックスの全土で最も優勢なカルトである。ペントの馬に騎乗する蛮族の間でも、彼女はプラックスでのようにそこを治めてはいないが重要である。オーランスを信仰する蛮族は彼らの土地のあらゆる場所で彼女の規則を受け入れており、どこででも牛が放牧されている。
     アイリーサの寺院の大きさは氏族(clan)の大きさによる。氏族の成人した女性のほとんどが入信者であるため、最小の氏族を除いては少なくとも小寺院を形成できる。アイリーサの社では《動物の祝福》を教えている。
     パップスにおけるヒエラルキーは、そこにあったかつての偉大な大地の宗教の模倣である。アイリーサの大女祭が指導者であり、「最も尊き長老(Most Respected Elder)」と呼ばれる。彼女はパップス近郊の聖なる地を離れることはない。そして、神殿を囲む聖地(Sacred Ground)の絶対の指導者である。10人の女祭が全員最も尊き長老に直接仕えており、それぞれがそれぞれの動物を代表している。それらのうちの5人は5つのプラックスの部族連合(nation)の「尊き長老(Respected Elder)」である。残りの5人は滅びた、あるいは秘密の、または小さな部族の女祭である。それぞれ、長鼻(Long-nose)、鼻角(Nose Horn)、平原大鹿(Plains Elk)、サイ(Rhino)、そしてシマウマ(Zebra)である。これらの部族のいくつかには、平原の小さな氏族にそれ自身の女祭がいる。そのいくつかは絶滅した家畜の生き残りである。最も尊き長老と彼女の内なる仲間は女神の機嫌や体調、要望を正確に予測し、解釈しなければならないという責任を負う。それに失敗したときには、プラックスと大荒野の全ての家畜は苦しむことになる。これらの女神の獣の相に加えて、パップスではいくつかの下位カルトがアイリーサの支配のもとで存続している。それぞれには最高位である大女祭と、数人の女祭がいる。これらのカルトの中には部族の中に女祭が存在するものもある。そしてこれらの女祭はパップスの大女祭にそうしないように指示されたのでない限り、その地方のアイリーサの女祭に仕える。こうした理由のために、これらの下位カルトは部族の指導者たちに人気が無い。これらの者は女祭たちが部族内の上下関係を乱す恐れがあると思っている。部族のヒエラルキーはパップスの大規模な宗教の骨組みに過ぎない。しかしそこでも厳しい統制が課せられている。
     5つの大部族のそれぞれには、大女祭はその部族の尊き長老である5人しかいない。彼女はパップスの神々の反映である精霊たちと交信できる。彼女は一時的な任務のためにこれらの精霊を彼女の支配のもとに、女祭にあてがうことができる。彼女は部族連合に属する氏族の女祭の集会を指導する。
     それぞれの氏族には大女祭がいる。というのは部族連合の全体が一致して尊き長老の指図のもとで行動する機会はほとんど無いし、遊牧民はそういった機会の合間にも女神との強い結びつきが必要だからである。それぞれの氏族の大女祭は何人かの女祭と家畜の姉妹を治める。彼女たちは順番に氏族の女性の教育や指導を行う。
     カルトの魔力の中心はパップスである。部族の女祭が滅多に予定されない会合のために集まるのはこの地である。寺院の周囲の土地は神聖であり、不倶戴天の敵同士でも戦闘は禁じられる。(混沌の存在は例外であり、速やかに殺戮される。)

  7. 平信者
  8.  遊牧民の間では、部族と共に暮らす者はすべてアイリーサの平信者であると考えられている。というのは、それぞれの者は女神の贈り物を受け、そのことによって彼女を崇拝するからである。客人は1頭の家畜(herdbeast)や、それと同価値の品物または金を支払うことによってのみ儀式への参加を許される。これは礼拝を行うたびごとに必要である。
     平信者はアイリーサの祝日に参加し、望むだけの魔力ポイントを捧げる。彼らは通常、毎週儀式に参加し、そのたびに1魔力ポイントを捧げる。平信者は女神の贈り物を共有することができる。このことは彼らが食料や衣服、そして獣の肉体からつくられた道具を得ることを意味する。
     平信者階級は部族の男性がなることを望むことのできる最高の地位である。

  9. 入信者
  10.  部族の身分の高い女性は1ポイントのPOWを捧げることで自動的に入信できる。よそ者はまず部族の養子とならなければならない。これはよそ者が部族と共に数年を過ごし、彼女が誠実で信用に値することを証明したときにのみ起きる。試験は必要とされない。もし養子の候補者が自らの資質を証明してみせたなら、彼女は受け入れられるのである。
     入信者は祝日の儀式に1ポイントを除くすべての魔力ポイントを捧げなければならない。通常、敬虔な入信者は毎週の儀式において少なくとも1ポイントの魔力ポイントは捧げようとする。これは、1ポイントを除くすべての魔力ポイントを捧げるという女神に対する帰依のしるしなのである(訳注:この記事によれば「祝日」とは毎週の儀式のことである。とすれば、この段落の後半部分は意味が通じなくなってしまう。段落最初の「祝日」は季節ごとの聖祝日と解すべきと思われる)。
     アイリーサ信仰による現世における利益は平信者と同様である。ただし、入信者はカルト技能の〈獣心理解〉を学ぶことができ、また《発火》を無料で教えてもらうことができる。〈獣心理解〉はその入信者の所有する家畜にのみ使用することができる。他の部族の獣には使用することはできない。
     アイリーサの入信者は《鋭刃》《火剣》《加速》《棍棒》《鉄の手》《熱狂》《破裂》《火の矢》《防護》《魔の矢》の呪文を禁じられている。
    精霊魔術:《遠視》《減速》《治癒》

  11. 家畜の姉妹(侍祭) Herd Sisters
  12.  家畜の姉妹は女祭と同じ条件を満たさなければならない。そのかわりに、彼女たちは神性魔術を再使用可で修得できる。カーンと女祭を除いて、彼女たちは獲物などを分配するときに部族の中で最も優先される。

  13. 女祭
  14.  女祭の役目は安全なやり方で人々を導くことであり、彼らの頼みとする家畜の群れの世話をすることである。戦闘カルトではないので、女祭には戦闘することなく家畜を生き残らせる、ということにふさわしい能力を有することが必要となる。
     女祭の候補者は通常のルール通りに必要条件を満たす必要がある。必要な技能は〈動物知識〉〈獣心理解〉〈世界知識〉〈浄化〉である(訳注:カルトブックでは4つ目は〈世界知識〉)。
     女祭は入信者と同じ制約に従う必要がある。加えて、斧とナイフ以外の武器の使用を禁止されるという厳しい制約がある。また、女祭は武器の威力を増大させる呪文を使用してはならない。女祭はワッハの平信者と結婚してはならない。女祭は屠殺された動物の肉を最初に選ぶ権利を得る。彼女らは自分の氏族の中で高い地位にあり、それに伴うあらゆる社会的特権を享受できる。
    一般神性魔術:すべて
    特殊神性魔術:《家畜との会話》《動物祝福》

  15. アイリーサ特殊カルト技能
  16. 〈獣心理解〉 Understand Beast Speech  知覚分野(00%)
    この技能の基本成功率は0%である。しかし、アイリーサの入信者は少なくとも、5%に知覚技能分野修正値を加えた値まで無料で教えられている(訳注:この箇所は Tales of the Reaching Moon でも日本語版のカルトブックでも「知識分野技能修正値」とされているが、これは知覚分野の技能とされていることと食い違ってしまう。ここでは Cults of Prax の記述に従って知覚分野技能修正値とした)。この技能は家畜の危険を知らせるしるしや動作、匂い、その他の仕草に気づき、それを理解するための技能である。この技能によって動物に話しかけることができるわけではない。

  17. アイリーサ特殊神性呪文
  18. 《家畜との会話》 Speak With Herd Beasts
    1ポイント、接触、残照、複合不可、再使用可
     この呪文の投射された者は持続時間の間、1種類の有蹄哺乳動物と会話ができる。その生物を説得するために〈雄弁〉や〈言いくるめ〉を用いることもできる。この呪文によりその生物が知性を与えられるわけではないので、その生物は普通に気が付いたことしか話すことができない。

    《動物祝福》 Bless Animals
    1ポイント、接触、残照、複合不可、再使用可
     この豊穣の呪文は祝福された動物の出産能力を増大させる。健康な子が産まれ、時には双子が産まれる。呪文の影響下にある獣の産んだ子は10頭のうち9頭が雌である。この呪文は1年のうち大聖日にのみ投射でき、それに続く1年のみ効果を発揮する。

  19. 下位カルト
  20. 復讐精霊 Spirit of Reprisal
     この精霊はカルトの掟に背いた者を積極的に傷つけるわけではない。しかしそのかわりに彼女につきまとい、以後に出会うすべてのアイリーサとワッハの信者に彼女が掟に背いたことを伝えようとすることで、彼女を悩ませる。
     この意思の伝達は常にその掟を破った者と出会ったときから初めての夜に夢の形で試みられる。そしてアイリーサの女祭には常に成功する。家畜の姉妹がその意思を受け取るには、POW×5のロールが必要である。アイリーサの入信者とワッハのカーンはPOW×3のロールが必要である。アイリーサの平信者やワッハの祈祷師、入信者はPOW×1である。これによりその者はカルトの者からの助けを受けることはほとんど無くなる。そしてこれは過酷な大荒野では、死の宣告に等しい。

    48の古きもの The Forty-Eight Old Ones
     これらは現在でもパップスのカルトに属している、古い農業の精霊の残存物である。パップスのアイリーサの大女祭(のみ)がこれらのうちの1つを同盟精霊として得ることができる。それぞれの「古きもの」のPOWは3D6+12であり、特殊な豊穣の呪文を知っている。しかしその他の点で区別はない。古きものは同盟精霊として仕えている間もその形態は精霊のままである。そしてその意思によって、意思の伝達をしたり、精霊戦闘をするために視覚化することができる。

    家畜 The Herds
     遊牧民は「七つの偉大な魔術(Seven Great Magics)」あるいは「まじないの包み(Medicine Bundles)」が大荒野と愛すべきプラックスでの生存のための能力を高めるために存在すると認めている。これらの宝物の中で最も偉大なものは守り手によって守られている、家畜それ自体である。アイリーサが健康であり、儀式の間に信者が彼女の機嫌を正しく理解しているときには、全ての部族の家畜はSTRとSIZが増加する。その逆に、アイリーサが病気の時には家畜のSTRとSIZが低下する。
     それぞれの氏族にはそれ自身の家畜がいる。この家畜から家畜のワイター(wyter)や集合精霊(group spirit)が形成される。この精霊はその氏族にいる全ての動物の集合体の精霊として見える。そして個々の氏族が互いに出会う度に、家畜たちを互いに結びつけるきずながより強くなる。この集合体の精霊は獣10体ごとに1ポイントのPOWで表される。ワイターの精霊は家畜のみを守る精霊として活動し、自動的に現れる。例えば、マリアの病気精霊に攻撃されたとき、狂った祈祷師が邪悪な贈り物をしてきたときなどである。

    守り手 The Protectresses
     「守り手」は曙の以前にワッハによって暗黒の勢力(Forces of Darkness)から解放された、アイリーサの娘たちである。家畜の一部または全部が脅威にさらされているときにはいつでも、それが物理的なものであろうと魔術的なものであろうと、守り手はその脅威を防ぐために現れる。
     部族の守り手の力は、家畜の数と健康状態による。守り手のPOWは家畜のワイター(herd wyter)の10倍である。このやり方で、守り手は彼女の力の一部を選んだ氏族の獣を助けるために送ることによって、多くの氏族の家畜の間に同時に現れることができる。逆にもし全ての部族の家畜が1つの場所に集められたならば、1体の守り手が現れる。彼女は魔術的にも肉体的にも凄まじい力を持ち、それは部族の全ての動物の力を合わせたもので表される。
     これらの力はそれぞれ異なっており、それぞれのタイプの獣にふさわしいものである。そして、ゲームマスターの選択に委ねられている。例えば、インパラ族(Impara Fork)の守り手は彼女の子供たちに「跳躍能力(the ability of Far-Leaping)」を授ける。これによって、それぞれの脅威にさらされているインパラは物理的な脅威にさらされている間、通常の5倍の跳躍力を授かる。他の守り手もこれに似た能力を子供たちに授ける。

    パップスにおける神々 The Paps Deities
     アイリーサと友好的な神々の多くは、平原で積極的に活動しているカルトを有していない。それらの神の残っている寺院はパップスにのみ存在する。しかし、重要な部族の集会でアイリーサの大寺院が形成されたときには、これらの神の社が利用できるようになる。このパップスの神にはアーナールダ、アルドリア、三粒の群れ、デンダーラ、良き羊飼い、ロナンスが含まれる。

    良き羊飼い The Good Shepherd
     この精霊は神々の時代には定命の者であった。そしてその時でさえ、彼はアイリーサの友人であった。その時彼はたくさんのプラックスの守り手の精霊の父となった。しかしその多くは大暗黒の時代に殺されてしまい、彼に対する信仰もワッハやストーム・ブルに対する信仰に取って代わられてしまった。しかし、彼の女神に対する献身は失われてはいない。そして彼は信者の魂をアイリーサの乳房に運ぶことにより、霊魂を死者の世界に送る者として行動する。彼は《霊魂封入》を提供する。

    《霊魂封入》 Seal Spirit
    3ポイント、儀式(浄化)、複合不可、再使用可
     この呪文はちょうど《蘇生》呪文のように働く。ただし、呪文を投射する者は、投射の際に1D3のCONを失う。この呪文は家畜に投射することもできる。

    マホーメイ Mahome
     この穏和な野の火の女神は大暗黒の間ワッハによって助けられた。そして、女祭たちは彼女の世話をした。彼女のお陰で、全てのアイリーサの入信者は《発火》の呪文を無料で教えてもらえるのである。

    ロナンス Ronance
     ロナンスはアーナールダの息子であり、かつては大荒野の偉大な支配者であった。彼は人間に植物の秘密とカルトの神秘的な小道を教えた。彼は黄金の時代に大荒野の支配者であり、パップスでの植物と移動のルーンの源であった。彼は現在でも見たところ道のない荒野を通る道を見つける際に役に立つ。というのは、彼の秘密の小道が砂漠の上にはっきり残っているからである。

    《道標》 Pathway
    1ポイント、自身、残照、複合可、再使用可
     使用者に最も近いオアシスの方角を正確に知らせる。複合させる1ポイントについて1つのオアシスについての方角がわかる。もし2ポイントの呪文を複合させると、1番近いオアシスと2番目に近いオアシスについてわかる。この呪文によってわかるのは方角と距離の近さのみであり、実際の距離はわからない。

    三粒の群れ The 3-Bean Circus
     これは平和的な信者としてその名声が広くし知れ渡っていた古い時代の一団(band)、あるいは家族である。しかし恐ろしい巨人の戦いの間に、彼らの力は打ち砕かれてしまった。しかし彼らはあきらめることなく耐えてきた。彼らは今も平原をさまよっているのである。彼らは1つの呪文、《安らぎ》を持っている。最も尊き長老と三粒の群れの女祭のみがこの呪文を投射できる。

    《安らぎ》 Peace
    3ポイント、残照、半径1km、複合不可、再使用可
     この呪文は半径1kmの全ての人々に、武器を地面に捨てさせ、全ての暴力と戦争を忘れさせる。精霊の送り込む平和と愛の素晴らしさが胸の中で鳴り響き、人々はそれに耳を傾けようとする。

  21. 友好カルト
  22. アルドリア Aldrya
     野生の植物(vegetation)の女神は彼女の姉妹に《成長加速》の呪文を提供する。これは大地のカルトの一員であるという古い友好関係による。

    デンダーラ Dendara
     黄金の時代にデンダーラとアーナールダは大いなる大地のカルトで友好関係を結んでおり、それは今でも続いている。彼女はアイリーサに《肉体の治癒》を提供する。

    アーナールダ Ernalda
     大地の母は獣の母に《ノーム支配》を提供する。

    ストーム・ブル Storm Bull
     アイリーサの夫は《盾》の呪文を提供する。

    ワッハ Waha
     アイリーサの息子は入信者に《穏やかな死》の呪文と〈屠殺〉の技能を提供する。

From Tales of the Reaching Moon Issue 14
作:Greg Stafford/訳:Shun

 なぜか「ゆりかご河」でカルトの詳細が紹介されなかったアイリーサです。このカルトはもちろん基本的にはPC用ではありませんが、プラックスで冒険をするときに遊牧民たちの雰囲気を出したりするためには結構参考になると思います。また、ルーンクエストの主な舞台はドラゴン・パスとプラックスであるにも関わらず、あまり遊牧の神々については明らかになっていなかったわけですが、そのうちのいくつかについての記述があるところも興味深いと思います。
 内容については訳注の形での記述がありましたように、かなりの部分を第2版から取っています。Cults of Prax の記述からの大きな変更は、記述の充実の他に、(1)神話において「神」が「巨人」とされている、(2)アイリーサは世界が崩壊した原因と考えている、光持ち帰りしものたちと火の神々(オークフェドは除く)が好きではない、といったところでしょうか。後は、ルールの変更に伴う変更などです。
 で、この(1)についてですが、誰か理由を知ってらっしゃる方はいらっしゃいませんでしょうか。我々では誰も知らないんですよ……。

 最後になりますが、この原稿の訳に当たってはぴろき、明之介両氏の多大なアドバイスをいただきました。どうもありがとうございました。 みなさん、これからもルーンクエストをやり続けましょうね。では、さようなら。


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