Cult of Elmal

エルマル
Elmal

オーランスの忠実なる近侍

  1. 神話と歴史
  2.  もともとエルマルは、皇帝イェルムの後継者の一人とみなされていた若き神だった。イェルムの息子であったと伝える話もある。
     ある時、エルマルは皇帝を悩ますオーランスという乱暴者の神の噂を耳にし、ひとつこらしめてやろうとケロフィネラ(注:ドラゴン・パスの古名)へ出向いた。だが、オーランスはただの乱暴者ではなく、勝負には容易に決着がつかなかった。
     そして長い戦いのさなか、エルマルとオーランスは橋の上から「青き竜の河」に転がり落ちてしまった。オーランスはとっさに風をおこして河からはいあがったが、エルマルは青い竜のあぎとにくわえ込まれてしまった。オーランスは竜に一撃をくわえると、敵であるはずのエルマルを救った。
     負けを認めたエルマルは、以後天空の神々の中にあってもオーランスに好意的な神となった。だがそのため天宮では疎まれ、後には荒野をさまようことになったのである。オーランスは「養子縁組みの儀式」を創造し、エルマルを嵐の神殿に迎えた。エルマルは以後、オーランスの友人、そして王の忠実な近侍となった。オーランスに太陽の動物である馬を伝えたのもエルマルである。エルマルはオーランスに馬術を教え、ともにジェナートの園で馬を駆って楽しんだ。

     オーランスが太陽を殺害し、世界が闇に包まれたときより、エルマルはオーランスを信じる者に光と熱を与える数少ない“太陽”として崇拝されるようになった。エルマルは皇帝の死に衝撃をうけたが、自分の加護を求める憐れな人間たちを見捨てることはできなかった。
     そして大暗黒が到来し、オーランスはイェルムを世に連れ戻すクエストに旅立つことを決心した。オーランスとエルマルは盾を交換しあい、神々の王はエルマルに後事を託すと世界から去った。エルマルは王不在の世でオーランス信徒を守って戦うことになった。
     南はケタエラではアーガン・アーガーからロウドリルを救い、彼を槍として使ってクラーシトとたたかった。東はジェナートの園を襲う混沌の輩と槍を交えた。だが、北の“黄金の丘”で、エルマルは戦いに傷つき、倒れた。
     そこにゾラーク・ゾラーンが忍び寄った。エルマルは打ち負かされた。だがオーランスに授かった稲妻の槍も折れ、まさに殺されようとしていたその時、女戦士ヴィンガが戦いに加わり、なんとかゾラーク・ゾラーンを撃退することに成功したのであった。
     エルマルはよく神々の王の館を護り、ついには連合の戦いに加わり、“曙”においては帰還する「光持ち帰りしものたち」を迎えることとなった。

     時が到来し、イェルムの再昇によってエルマルの「太陽」としての重要性は薄れることとなった。
     2世紀頃になると、ペローリアのイェルム信仰とオーランス人のエルマル信仰が衝突するようになった。これは第一評議会の勝利というかたちででエルマル信徒の勝利に終わったのだが、のちにこの争いは「グバージ」という偽りの光の神との戦いという形で再燃した。
     エルマルのカルトはグバージの光の帝国の統治下でほとんど根絶されかけた。後のアーカットの対ペローリア戦争には、生き残ったエルマル信徒の多くが参加したと伝えられる。だがグバージ戦争終結後、アーカットは次第に変容し、カルトは暗黒帝国で弾圧され、信仰はさらに小さなものとなった。

     9世紀頃、ワームの友邦帝国の栄えるドラゴン・パスに、モンローフという人物があらわれた。彼はペローリア様式の太陽信仰に「転び」、エルマルのカルトを改革しようとし、そして追放された。彼は世界中を放浪し、すでにエルフたちに知られていたイェルマリオという神(イェルム亡きあと世界をさまよっていた、傷ついた太陽)を連れ戻った。そしてヒーロークエストによってエルマル信仰とイェルマリオ信仰を組み合わせ、新しいイェルマリオのカルトを創造することに成功したのである。
     その後、エルマルのカルトはイェルマリオの隆盛に伴い急激に衰退した。現在は、特に信仰のあつい者がカルトに身を捧げるのみである。

     エルマル信徒は、死後はエルマルとともに神々の王の館を守護して過ごすことを知っている。死者は可能なかぎり火葬にされる。カルトの司祭の葬礼には、部族の貴人に対するように、ロウドリルの《火葬》の呪文が使われる。
     エルマルは「火/天空」「真実」のルーンと関係を持つ。また、養子縁組みをおこない嵐の神殿に身を置いたゆえに、「嵐」のルーンとも弱い関係がある。

  3. カルトの生態
  4.  エルマルは、オーランス人の間では冬季の守護者、馬術の練達者、王の忠実な近侍として知られている。
     冬の守護者としては、エルマルは炉の火(グストブラン)やかまどの火(マホーメイ)の源として尊ばれている。馬術の練達者として、馬匠や戦士たちに〈乗馬〉を教える。忠実な近侍としては、エルマルは死をもかえりみない忠誠を体現している。この忠誠とは主君の言葉に唯々諾々と従うことではなく、主君があやまてるときにはそれを正すことも含んでいるのである。

     カルトは世界を破壊しかけた混沌、そしてゾラーク・ゾラーンを憎んでいる。また、イェルマリオのカルトとは敵対関係にある(ただし混沌と戦うにおいては、やむをえず暗黒やイェルマリオのカルトと協力することもある)。
     また、カルトは大地の乙女たちや、虐げられた者たちを守ることを奨励している。それが大暗黒にあってエルマルの選んだ生き方であった。

     カルトの聖祝日は「真実の週」の「火の日」、「火の季」の聖祝日が大聖日である。

  5. 世界におけるカルト
  6.  エルマルは、オーランス不在の間、人々を守護したことで深い尊敬を受けている。だが、イェルマリオがエルマルの役割を「異端」として排斥しているため、エルマル信者はイェルマリオが信仰されている地方ではあまり見られない。
     現在エルマルの信仰は、ラリオスのランクスト地方が中心である(この地ではオーランス信者とアルドリアミの間に長い戦いが続いており、イェルマリオはエルフの戦神として忌み嫌われている)。ただし、サーターのエンヒル氏族、プラックスのポル・ジョニ族のように、古い信仰を維持している人々もわずかながら各地に存在する。スロントスの一部、パマールテラのヴラロスなどでも、わずかに信仰が残っているという。

     エルマルは、オーランス神殿でオーランスの近侍としてオーランスと供に奉られていることが多い。エルマルは単独の寺院(例えば「陽の天蓋寺院」のような)をつくることはない。寺院は普通は社である。社では《陽光》の呪文を教えている。

  7. 入信者
  8.  入信を望む者の両親の少なくとも一人が入信者ならば、1ポイントのPOWを捧げることで自動的に入信できる。そうでない場合は通常の条件に従う。チェックする技能は、〈乗馬〉〈視力〉〈槍攻撃〉〈弓攻撃〉〈動物知識〉。入信者は魔道士や祈祷師であってはならず、暗黒や混沌の生物は入信を認められない。
     入信者は各季の収入の10%を「太陽の近侍」に捧げなくてはならない。また各季に2週間はカルトのために働かなくてはならない。入信者は真実を尊び、出来うる限り嘘をついてはならない。入信者はオーランス社会で成人と認められる。また、年に50時間カルト技能を訓練してもらえ、〈嵐語〉を25%まで無料で教えてもらえる。
     入信する際、エルマルの加護と制約を1つだけ取ってもよい。取らなくていも良いが、この場合は「太陽の近侍」に昇進するまで加護と制約は受けることができない。

    精霊呪文:《機敏》《遠視》《黄金検知》《火剣》《修復》《光》《光の壁》

  9. 加護と制約
  10. ●加護

    1D20加護制約の数
    01信者の選んだ技能一つが10%上昇する。1
    02恒久的な《遠視》の能力を得る。(精霊呪文と同じ)2
    03〈弓攻撃〉の技能が90%に上昇する。(技能修正を含む)*3
    04片手槍の攻撃と受けが90%に上昇する。(技能修正を含む)*3
    05両手槍の攻撃と受けが90%に上昇する。(技能修正を含む)*3
    06ジャベリンの攻撃が90%に上昇する。(技能修正を含む)*3
    07《陽光》の呪文を再使用可で修得する。1
    08馬と意志疎通(自動的な《霊話》として扱う)が可能になる。1
    09言語の加護(訓練と研究に掛かる時間が半分になる)。1
    10STRが1上昇。上限なし。**1
    11CONが1上昇。上限なし。**1
    12POWが1上昇。上限なし。**1
    13DEXが1上昇。上限なし。**1
    14APPが1上昇。上限なし。**1
    15INTが1上昇。上限なし。**2
    16信者の選択によってSIZを1増減できる。上限はない。**2
    17〈騎乗(馬)〉の技能が90%に上昇する。(技能修正を含む)*1
    18全ての炎から受けるダメージが半減。1
    19MPが2倍の速度で回復。***2
    20FPが2倍の速度で回復。*** 1
    *既に技能が90%ある場合、01が出たとみなす。
    **ただし種族の上限や当初の能力値の1.5倍を越えることはできない。
    ***この加護を複数受けた場合は、回復速度が3倍、4倍となっていく。

    ●制約

    1D100制約
    01エルマルの好意により制約なし。
    02-05「火の日」に肉を食べてはならない。
    02-05「火の日」に肉を食べてはならない。
    06-09「火の季」に肉を食べてはならない。
    10-12鳥肉を食べてはならない。*
    13-15鳥肉以外の肉を食べてはならない。*
    16あらゆる肉をたべてはならない。
    17-20「火の日」には禁欲しなくてはならない。
    17-20「火の日」には禁欲しなくてはならない。
    21-24「真実の週」には禁欲しなくてはならない。
    25-28「火の季」には禁欲しなくてはならない。
    29-30上記全ての時期に禁欲しなくてはならない。
    31常に禁欲しなくてはならない。
    32-33誰に対しても真実しか話してはならない。
    34-36エルマルがオーランスの邸を守るために残ったのを讃え、常に歩哨に立たねばならない。
    37-40むやみに馬を苦しめてはならない。
    41非金属の防具を両脚につけてはいけない。
    42非金属の防具を胴体(胸部と腹部)につけてはいけない。
    43非金属の防具を両腕につけてはいけない。
    44金属の防具を両脚につけてはいけない。
    45金属の防具を胴体(胸部と腹部)につけてはいけない。
    46金属の防具を両腕につけてはいけない。
    47両脚に防具をつけてはならない。
    48胴体(胸部と腹部)に防具をつけてはいけない。
    49両腕に防具をつけてはいけない。
    50-52頭に防具をつけてはならない。
    53-54バックラー以外の盾を使用してはならない。
    55-57あらゆる斧を使用してはならない。
    58フレイルや鞭の類を使用してはならない。
    59-60あらゆる剣を使用してはならない。
    61-64メイスやモールの類を使用してはならない。
    65-67カルト武器以外使用してはならない。
    68-70ゾラーク・ゾラーンの信者を逃がしたり、降参したりしてはならない。
    71-72暗黒の生物から逃げたり、それらに降伏したりしてはならない。
    73-77いかなる場合でも、トロウルに話しかけたり助けたりしてはならない。
    78-79いかなる場合でも、混沌に話しかけたり助けたりしてはならない。
    80-81いかなる場合でも、混沌を逃がしたり、混沌に屈服したりしてはならない。
    82-84嵐や大地のカルトの者に助け求められたならば、それを断ってはならない。
    85-86猫が傷つけられるのを許してはならない。
    87-88馬の肉を食べてはならない。
    89-92大地の神の信者以外を愛してはならない。
    93-95入浴してはならない。
    96-97さらに2回振る。
    98さらに3回振る。
    99-00GMが選択。または振りなおし。
    *両方の制約を受けた場合、あらゆる肉を食べてはならない。

  11. 太陽の近侍(ルーン王/司祭)
  12.  太陽の近侍はカルトのルーン王であり、また指導者である。彼は勇敢にして誠実、真実と正義を尊ぶ彼らが神の体現たろうとする。
     この地位に就こうとする者は、以下の技能が90%以上でなくてはならない:〈乗馬〉〈槍攻撃〉〈視力〉。また、以下の技能のうち2つが90%以上でなくてはならない:〈捜索〉〈弓攻撃〉〈盾受け〉〈自国語会話〉。また、《遠視》の呪文を覚えていなくてはならない。年に一度の聖試験に合格し、役職に空きがあれば「太陽の近侍」として迎えられる。
     カルトが小規模なため、通常のルーン王職以上の利益を得ることはない。鉄の武具も与えられない。ただし、友好的なカルトから提供されることはあるやもしれない。同盟精霊は槍、または覚醒した馬である。太陽の近侍は神性介入を1D10でおこなうことができる。
     太陽の近侍となったときに、必ず一つの加護と制約を受けねばならない。それ以後は、1年に1回加護と制約を受けることができる。
     太陽の近侍は時間の90%をカルトのために費やさねばならない。通常の司祭の役割も勤めなければならず、太陽の近侍は入信者に呪文を教えたり、礼拝儀式を行ったり、訓練をおこなったりする。

    一般神性呪文:《エルマル礼拝》《聖別》《呪文伝授》《カルト精霊召喚》
    特殊神性呪文:《神槍》《陽光》《盾》《黄金呪鍛》

  13. エルマル特殊神性魔術
  14. 《陽光》 Sunbright
    2ポイント、遠隔、残照、複合不可、再使用可
     この呪文は標的の周囲半径50メートルに光の円を作り出す。もし標的が呪文を望まないなら、術者は魔力ポイントの抵抗ロールで相手に打ち勝たねばならない。この光は真昼の光と同様の効果を持ち、洞窟トロウル等に太陽の光と同様の効果を与える。この光はヴァンパイアやグール、その他知性のあるアンデッドに《消沈》の効果を与える。また、標的は《かすみ2》と同様の効果を得る。《陽光》呪文の影響のあるところに存在するシェードは、毎ラウンド1D3のダメージを受ける。直接シェードにこの呪文がかけられたなら、シェードは消滅する。

    《神槍》 True Spear
    1ポイント、遠隔、残照、複合不可、再使用可
     1H槍もしくは2H槍に投射することで、その武器本来のダメージを2倍にする。ただし、キャラクターのダメージ修正は2倍にならない。また、槍を投げて使った場合にも効果はなくなる。

    《盾》 Shield
    1ポイント、遠隔、残照、複合可、再使用可
     この呪文の影響下にあるものをダメージから守る。《盾》呪文1ポイント分が、2ポイントのアーマーおよび2ポイントの《抵抗》呪文に相当。《防護》《抵抗》呪文と同時に使うこともできる。
     精霊/魔道呪文を使って《盾》呪文を攻撃する場合、突破しようとする呪文の強さが《盾》による防御の強さよりも最低1ポイント(MPに換算して2ポイント)大きくなければ、突破できない。突破されても《盾》呪文が消失することはない。15分(または《呪払》されるまで)効果は持続する。
     この呪文は《吸収》呪文と同時には使用できない。すでに《抵抗》呪文の影響下にあるものに《盾》呪文を投射した場合には、《抵抗》呪文が消失する可能性がある(《抵抗》呪文の解説を参照)。

  15. 下位カルト
  16. 復讐精霊 星の火 Star Fire
     カルトを裏切った者は「星の火」という復讐精霊に襲われる。この精霊はPOWが40あり、星の見える夜に裏切者のもとを訪れ、精霊戦闘を行なう。裏切者がMP抵抗に失敗する度に、犠牲者の身体の一部(発射武器の損傷部位表でランダムに決定)に青白い炎が燃えうつる。この炎は1ラウンドに1ポイントのダメージを与え、1D6ラウンドの間燃え続ける。この炎は魔法的なもので、通常の手段では消すことができない。同じ部位が燃え始めた場合、効果は累積する。精霊は6ラウンドで立ち去るが、燃え始めた炎は精霊が去っても消えることはない。普通は1度だけ責め苦を与えるだけだが、「太陽の近侍」が裏切った場合は何度も現れる。
     サーターにはこの精霊の名を冠した「星の火尾根」という丘陵があり、古くはエルマルの聖地として知られていた。この精霊はカルトの裏切者の英雄モンローフによって傷つけられ、接触するのは困難になっている。

    稲妻童子 Lightning Boy
     このオーランスの下僕は、神々の王が「光持ち帰りしものたちの探索」に出ている間、その玉座を守るエルマルを助けた。エルマルの手の内で、彼は稲妻(嵐の炎)の槍へと姿を変えたのである。エルマルのカルトのものは、オーランス信徒と同様にこの下位カルトを利用できる。《稲妻》の呪文は入信者でも(再使用不可で)手に入れられる。

    クシル Kuschile
     騎馬の術に長け特殊なカルト技能〈クシルの騎射〉を作り上げた英雄を記念してつくられた、古い下位カルトである。この技能を学んでいる射手は黄色い矢羽のついた矢をたずさえることを許される。

    〈クシルの騎射〉 Kuschile Archery
    操作分野技能(00)
     この技能を習得できるのはエルマルの信者のみである。技能を習得したものは、この技能を[25+技能分野修正]%で得るかわりに、1つ制約をうける(無作為に選ぶこと)。ひとたび制約とひきかえにこの技能をえたならば、後は訓練することも研究することもできる。この技能の使用に成功すれば、〈乗馬〉技能にかかわりなく馬上から通常通りの射撃をおこなえる。この技能を使う場合には、矢を1本撃つごとに技能のチェックをおこなうこと。

  17. 友好カルト
  18. オーランス
    彼は神々の王であり、エルマルの主君でもある。オーランスは太陽の近侍に下位カルト“稲妻童子”を提供している。

    アーナールダ
    大暗黒と冬の間の守護者たるエルマルに、《肉体の治癒》を提供している。

    ヴィンガ
    オーランスの異父妹の女戦士は、共に大暗黒を戦い抜いた戦友に《命中》の呪文を提供している。

    ヒッポイ
    この馬馴らしの神は、《馬祝福》を提供する。

    《馬祝福》 Bless Horse
    1ポイント、接触、瞬間、複合不可、再使用不可
     この呪文は馬の出産能力を増大させる。この呪文のかかった馬が出産すると、健康な仔馬や、まれに双子がうまれることになる。しかも、これらの仔馬の10匹のうち9匹は雌である。この呪文は年に1回の大聖日にのみ使用され、その効果があらわれるのは翌年の出産日のみである。

    9、付記

    イェルマリオ
     イェルマリオとエルマルの関係は、神学者や哲学者たちに深い混乱をもたらしている。モンローフのイェルマリオ・カルトが現れたのは神知者が滅亡してからのことであり、神界に赴いて真実を調べることのできる者もいなかったため、その結論はでていない。有力の説のひとつとして、ルナーの哲学者アグリパ・フェルベニウスの説がある。

    「ヒーロークエストとはすなわち英雄界……“時”到来以前の世界……への干渉である。よって、強力な(少なくとも、神と戦って勝つ程度には強力な)ヒーロークエストによっては、“神話修正”が可能となろう。事実、神知者たちは体系化された“神話修正”を行っていた。われわれの知る単一神話はこうして「つくられた」ものなのである(そして神知者たちが破滅しても、神話は完全にもとのものに戻らなかった)。
    「有名な“神話修正”の一例としては、グバージによる「トロウルキンの呪い」が挙げられる。グバージは“時”以前に出向いてコラスティングの子宮を噛みとったのであるが、神が変容することで、“時”の中にあるトロウルもまた変化した。著名な英雄、白熊のハレックは、神を殺すことで大変な力を得たという。そしてもちろん、このような神話修正の最大のものが、七人のヒーロークエスターたちが行った“女神の再生”計画であるのは言うまでもない。……
    「モンローフのヒーロークエストもまた、このような神話修正のひとつであろう。モンローフは2つの神性(太陽神エルマルとエルフの戦神イェルマリオ)を組み合わせ、新たな神性を創造した。それによってエルマルにもイェルマリオにも変化があらわれたのだと思われる。もはや真実が新しく“創られた”からには、我々にはかつての真実を知るすべはないのである。……」

     エルマルのカルトは裏切者モンローフとイェルマリオのカルトを完全に敵視している。この二つのカルトの信者は、お互いを異端であるとののしりあい、できうる限り排除しようとする。これがエルマルがマニリアにおいて非常に小さなカルトとなっている理由のひとつである。
     エルマルとイェルマリオのルーン王が出会った場合、自分の正当性をかけて決闘をおこなうことが多い。ただ、決闘はフマクトのように一対一の戦いである必要はない。

    イェルム神殿との関係
     イェルム神殿では、エルマルを「反逆の神々に寝がえった偽りの太陽」とみている。ゆえに、エルマルのカルトはイェルム神殿の神々とはほとんど交渉がないし、むしろ敵対的といっていい。
     地底の熱の神ロウドリルは、イェルム神殿にあって例外的に友好的なカルトである。エルマルがロウドリルをアーガン・アーガーの虜囚の身から解放したという神話や、ユールマルが奪ってきたロウドリルの子ら「グストブラン(鍛冶冶金の神)」、「オークフェド(野火の神)」、「マホーメイ(炉辺の女神)」をエルマルがてなづけ、オーランス信徒に与えた逸話はよく知られている。

    アーカット
     エルマルは“解放者”アーカットや“フマクトの息子”アーカットのカルトとは友好関係にあるが、“大王トロウル”アーカットなどの暗黒帝国のアーカット・カルトとは反目している。混沌カルトである“裏切者”アーカットのカルトとは敵対関係にある。
     最近ラリオスで高まっている「アーカット再来運動」において、“大王トロウル”アーカットの人気が高いことに不安を覚えているエルマル信者は多いという。


著者:まりおん/掛川忠昭(CXC06317@Niftyserve.or.jp

 イェルマリオ・カルトの元となったというエルマル・カルトです。『グローランサ年代記』で紹介されて以来、エルマルについては数々の議論があったようですが、「エルマル・カルトは現在も存続しており、イェルマリオ・カルトと非常によく似ている」という意見を元に、カルト・フルライトアップを作成してみました。重要な変更点は次のようなものです。

◎イェルマリオや太陽神殿と対立しているかわりに、オーランス神殿とは仲がいいです。もうこれで「正しくいぢめ」られたりしないぞ。でも友好カルトにおんぶだっこという状況は変わっていないよーな……(笑)

◎一般神性呪文がほとんど使えません。また《猫目》が使えません。かわりに特殊神性呪文に《神槍》が追加されました。

◎非常にマイナーな神なので、ほとんど寺院がありません(「太陽の近侍」を探すのが冒険の目的になるかも?)。戦力的にはイェルマリオよりパワーアップしていますので、GMは「寺院が見つからないといって呪文を修得させない/回復させない」「カルトの援助を与えない」「イェルマリオ・カルトにいぢめさせる」等の手をつかって、ぞんぶんに弱小の悲哀を感じさせてやってください(笑)。

 ヒーロークエストに関する記述は、Steve Maurer 氏のヒーロークエスト・ハウスルールを参考に、独自の解釈を加えたものです。

 「他人のために生きる戦士」というのがコンセプトです。オーランス神殿ではあまり見られない性格のカルトですので(みんな自分勝手だからのう)、一度使ってみてください (^^) 。


 このカルト完全記述は著者が作成したものであり、Avalon Hill/Chaosiumの公式設定ではないことをお断りしておきます。

 このカルトの記述に当たっては、「グローランサ年代記」、「太陽領」(ホビー・ジャパン)、「Cult of Vinga」(Bryan Malony 氏の作品)、「Lies withTruth」(Codex Vol 1,No.3)「Windy Hill」(Tales of the Reacing Moon #12)、「RQ_FAQ_J.TXT」Glorantha Digestより翻訳)などを参考にしました。

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