オーランスの忠実なる近侍
オーランスが太陽を殺害し、世界が闇に包まれたときより、エルマルはオーランスを信じる者に光と熱を与える数少ない“太陽”として崇拝されるようになった。エルマルは皇帝の死に衝撃をうけたが、自分の加護を求める憐れな人間たちを見捨てることはできなかった。
そして大暗黒が到来し、オーランスはイェルムを世に連れ戻すクエストに旅立つことを決心した。オーランスとエルマルは盾を交換しあい、神々の王はエルマルに後事を託すと世界から去った。エルマルは王不在の世でオーランス信徒を守って戦うことになった。
南はケタエラではアーガン・アーガーからロウドリルを救い、彼を槍として使ってクラーシトとたたかった。東はジェナートの園を襲う混沌の輩と槍を交えた。だが、北の“黄金の丘”で、エルマルは戦いに傷つき、倒れた。
そこにゾラーク・ゾラーンが忍び寄った。エルマルは打ち負かされた。だがオーランスに授かった稲妻の槍も折れ、まさに殺されようとしていたその時、女戦士ヴィンガが戦いに加わり、なんとかゾラーク・ゾラーンを撃退することに成功したのであった。
エルマルはよく神々の王の館を護り、ついには連合の戦いに加わり、“曙”においては帰還する「光持ち帰りしものたち」を迎えることとなった。
時が到来し、イェルムの再昇によってエルマルの「太陽」としての重要性は薄れることとなった。
2世紀頃になると、ペローリアのイェルム信仰とオーランス人のエルマル信仰が衝突するようになった。これは第一評議会の勝利というかたちででエルマル信徒の勝利に終わったのだが、のちにこの争いは「グバージ」という偽りの光の神との戦いという形で再燃した。
エルマルのカルトはグバージの光の帝国の統治下でほとんど根絶されかけた。後のアーカットの対ペローリア戦争には、生き残ったエルマル信徒の多くが参加したと伝えられる。だがグバージ戦争終結後、アーカットは次第に変容し、カルトは暗黒帝国で弾圧され、信仰はさらに小さなものとなった。
9世紀頃、ワームの友邦帝国の栄えるドラゴン・パスに、モンローフという人物があらわれた。彼はペローリア様式の太陽信仰に「転び」、エルマルのカルトを改革しようとし、そして追放された。彼は世界中を放浪し、すでにエルフたちに知られていたイェルマリオという神(イェルム亡きあと世界をさまよっていた、傷ついた太陽)を連れ戻った。そしてヒーロークエストによってエルマル信仰とイェルマリオ信仰を組み合わせ、新しいイェルマリオのカルトを創造することに成功したのである。
その後、エルマルのカルトはイェルマリオの隆盛に伴い急激に衰退した。現在は、特に信仰のあつい者がカルトに身を捧げるのみである。
エルマル信徒は、死後はエルマルとともに神々の王の館を守護して過ごすことを知っている。死者は可能なかぎり火葬にされる。カルトの司祭の葬礼には、部族の貴人に対するように、ロウドリルの《火葬》の呪文が使われる。
エルマルは「火/天空」「真実」のルーンと関係を持つ。また、養子縁組みをおこない嵐の神殿に身を置いたゆえに、「嵐」のルーンとも弱い関係がある。
カルトは世界を破壊しかけた混沌、そしてゾラーク・ゾラーンを憎んでいる。また、イェルマリオのカルトとは敵対関係にある(ただし混沌と戦うにおいては、やむをえず暗黒やイェルマリオのカルトと協力することもある)。
また、カルトは大地の乙女たちや、虐げられた者たちを守ることを奨励している。それが大暗黒にあってエルマルの選んだ生き方であった。
カルトの聖祝日は「真実の週」の「火の日」、「火の季」の聖祝日が大聖日である。
エルマルは、オーランス神殿でオーランスの近侍としてオーランスと供に奉られていることが多い。エルマルは単独の寺院(例えば「陽の天蓋寺院」のような)をつくることはない。寺院は普通は社である。社では《陽光》の呪文を教えている。
| 精霊呪文: | 《機敏》《遠視》《黄金検知》《火剣》《修復》《光》《光の壁》 |
| 1D20 | 加護 | 制約の数 |
|---|---|---|
| 01 | 信者の選んだ技能一つが10%上昇する。 | 1 |
| 02 | 恒久的な《遠視》の能力を得る。(精霊呪文と同じ) | 2 |
| 03 | 〈弓攻撃〉の技能が90%に上昇する。(技能修正を含む)* | 3 |
| 04 | 片手槍の攻撃と受けが90%に上昇する。(技能修正を含む)* | 3 |
| 05 | 両手槍の攻撃と受けが90%に上昇する。(技能修正を含む)* | 3 |
| 06 | ジャベリンの攻撃が90%に上昇する。(技能修正を含む)* | 3 |
| 07 | 《陽光》の呪文を再使用可で修得する。 | 1 |
| 08 | 馬と意志疎通(自動的な《霊話》として扱う)が可能になる。 | 1 |
| 09 | 言語の加護(訓練と研究に掛かる時間が半分になる)。 | 1 |
| 10 | STRが1上昇。上限なし。** | 1 |
| 11 | CONが1上昇。上限なし。** | 1 |
| 12 | POWが1上昇。上限なし。** | 1 |
| 13 | DEXが1上昇。上限なし。** | 1 |
| 14 | APPが1上昇。上限なし。** | 1 |
| 15 | INTが1上昇。上限なし。** | 2 |
| 16 | 信者の選択によってSIZを1増減できる。上限はない。** | 2 |
| 17 | 〈騎乗(馬)〉の技能が90%に上昇する。(技能修正を含む)* | 1 |
| 18 | 全ての炎から受けるダメージが半減。 | 1 |
| 19 | MPが2倍の速度で回復。*** | 2 |
| 20 | FPが2倍の速度で回復。*** | 1 |
| * | 既に技能が90%ある場合、01が出たとみなす。 |
| ** | ただし種族の上限や当初の能力値の1.5倍を越えることはできない。 |
| *** | この加護を複数受けた場合は、回復速度が3倍、4倍となっていく。 |
| 1D100 | 制約 |
|---|---|
| 01 | エルマルの好意により制約なし。 |
| 02-05 | 「火の日」に肉を食べてはならない。 |
| 02-05 | 「火の日」に肉を食べてはならない。 |
| 06-09 | 「火の季」に肉を食べてはならない。 |
| 10-12 | 鳥肉を食べてはならない。* |
| 13-15 | 鳥肉以外の肉を食べてはならない。* |
| 16 | あらゆる肉をたべてはならない。 |
| 17-20 | 「火の日」には禁欲しなくてはならない。 |
| 17-20 | 「火の日」には禁欲しなくてはならない。 |
| 21-24 | 「真実の週」には禁欲しなくてはならない。 |
| 25-28 | 「火の季」には禁欲しなくてはならない。 |
| 29-30 | 上記全ての時期に禁欲しなくてはならない。 |
| 31 | 常に禁欲しなくてはならない。 |
| 32-33 | 誰に対しても真実しか話してはならない。 |
| 34-36 | エルマルがオーランスの邸を守るために残ったのを讃え、常に歩哨に立たねばならない。 |
| 37-40 | むやみに馬を苦しめてはならない。 |
| 41 | 非金属の防具を両脚につけてはいけない。 |
| 42 | 非金属の防具を胴体(胸部と腹部)につけてはいけない。 |
| 43 | 非金属の防具を両腕につけてはいけない。 |
| 44 | 金属の防具を両脚につけてはいけない。 |
| 45 | 金属の防具を胴体(胸部と腹部)につけてはいけない。 |
| 46 | 金属の防具を両腕につけてはいけない。 |
| 47 | 両脚に防具をつけてはならない。 |
| 48 | 胴体(胸部と腹部)に防具をつけてはいけない。 |
| 49 | 両腕に防具をつけてはいけない。 |
| 50-52 | 頭に防具をつけてはならない。 |
| 53-54 | バックラー以外の盾を使用してはならない。 |
| 55-57 | あらゆる斧を使用してはならない。 |
| 58 | フレイルや鞭の類を使用してはならない。 |
| 59-60 | あらゆる剣を使用してはならない。 |
| 61-64 | メイスやモールの類を使用してはならない。 |
| 65-67 | カルト武器以外使用してはならない。 |
| 68-70 | ゾラーク・ゾラーンの信者を逃がしたり、降参したりしてはならない。 |
| 71-72 | 暗黒の生物から逃げたり、それらに降伏したりしてはならない。 |
| 73-77 | いかなる場合でも、トロウルに話しかけたり助けたりしてはならない。 |
| 78-79 | いかなる場合でも、混沌に話しかけたり助けたりしてはならない。 |
| 80-81 | いかなる場合でも、混沌を逃がしたり、混沌に屈服したりしてはならない。 |
| 82-84 | 嵐や大地のカルトの者に助け求められたならば、それを断ってはならない。 |
| 85-86 | 猫が傷つけられるのを許してはならない。 |
| 87-88 | 馬の肉を食べてはならない。 |
| 89-92 | 大地の神の信者以外を愛してはならない。 |
| 93-95 | 入浴してはならない。 |
| 96-97 | さらに2回振る。 |
| 98 | さらに3回振る。 |
| 99-00 | GMが選択。または振りなおし。 |
| * | 両方の制約を受けた場合、あらゆる肉を食べてはならない。 |
| 一般神性呪文: | 《エルマル礼拝》《聖別》《呪文伝授》《カルト精霊召喚》 |
| 特殊神性呪文: | 《神槍》《陽光》《盾》《黄金呪鍛》 |
《神槍》 True Spear
1ポイント、遠隔、残照、複合不可、再使用可
1H槍もしくは2H槍に投射することで、その武器本来のダメージを2倍にする。ただし、キャラクターのダメージ修正は2倍にならない。また、槍を投げて使った場合にも効果はなくなる。
《盾》 Shield
1ポイント、遠隔、残照、複合可、再使用可
この呪文の影響下にあるものをダメージから守る。《盾》呪文1ポイント分が、2ポイントのアーマーおよび2ポイントの《抵抗》呪文に相当。《防護》《抵抗》呪文と同時に使うこともできる。
精霊/魔道呪文を使って《盾》呪文を攻撃する場合、突破しようとする呪文の強さが《盾》による防御の強さよりも最低1ポイント(MPに換算して2ポイント)大きくなければ、突破できない。突破されても《盾》呪文が消失することはない。15分(または《呪払》されるまで)効果は持続する。
この呪文は《吸収》呪文と同時には使用できない。すでに《抵抗》呪文の影響下にあるものに《盾》呪文を投射した場合には、《抵抗》呪文が消失する可能性がある(《抵抗》呪文の解説を参照)。
〈クシルの騎射〉 Kuschile Archery
操作分野技能(00)
この技能を習得できるのはエルマルの信者のみである。技能を習得したものは、この技能を[25+技能分野修正]%で得るかわりに、1つ制約をうける(無作為に選ぶこと)。ひとたび制約とひきかえにこの技能をえたならば、後は訓練することも研究することもできる。この技能の使用に成功すれば、〈乗馬〉技能にかかわりなく馬上から通常通りの射撃をおこなえる。この技能を使う場合には、矢を1本撃つごとに技能のチェックをおこなうこと。
《馬祝福》 Bless Horse
1ポイント、接触、瞬間、複合不可、再使用不可
この呪文は馬の出産能力を増大させる。この呪文のかかった馬が出産すると、健康な仔馬や、まれに双子がうまれることになる。しかも、これらの仔馬の10匹のうち9匹は雌である。この呪文は年に1回の大聖日にのみ使用され、その効果があらわれるのは翌年の出産日のみである。
「ヒーロークエストとはすなわち英雄界……“時”到来以前の世界……への干渉である。よって、強力な(少なくとも、神と戦って勝つ程度には強力な)ヒーロークエストによっては、“神話修正”が可能となろう。事実、神知者たちは体系化された“神話修正”を行っていた。われわれの知る単一神話はこうして「つくられた」ものなのである(そして神知者たちが破滅しても、神話は完全にもとのものに戻らなかった)。
「有名な“神話修正”の一例としては、グバージによる「トロウルキンの呪い」が挙げられる。グバージは“時”以前に出向いてコラスティングの子宮を噛みとったのであるが、神が変容することで、“時”の中にあるトロウルもまた変化した。著名な英雄、白熊のハレックは、神を殺すことで大変な力を得たという。そしてもちろん、このような神話修正の最大のものが、七人のヒーロークエスターたちが行った“女神の再生”計画であるのは言うまでもない。……
「モンローフのヒーロークエストもまた、このような神話修正のひとつであろう。モンローフは2つの神性(太陽神エルマルとエルフの戦神イェルマリオ)を組み合わせ、新たな神性を創造した。それによってエルマルにもイェルマリオにも変化があらわれたのだと思われる。もはや真実が新しく“創られた”からには、我々にはかつての真実を知るすべはないのである。……」
エルマルのカルトは裏切者モンローフとイェルマリオのカルトを完全に敵視している。この二つのカルトの信者は、お互いを異端であるとののしりあい、できうる限り排除しようとする。これがエルマルがマニリアにおいて非常に小さなカルトとなっている理由のひとつである。
エルマルとイェルマリオのルーン王が出会った場合、自分の正当性をかけて決闘をおこなうことが多い。ただ、決闘はフマクトのように一対一の戦いである必要はない。
イェルマリオ・カルトの元となったというエルマル・カルトです。『グローランサ年代記』で紹介されて以来、エルマルについては数々の議論があったようですが、「エルマル・カルトは現在も存続しており、イェルマリオ・カルトと非常によく似ている」という意見を元に、カルト・フルライトアップを作成してみました。重要な変更点は次のようなものです。
◎イェルマリオや太陽神殿と対立しているかわりに、オーランス神殿とは仲がいいです。もうこれで「正しくいぢめ」られたりしないぞ。でも友好カルトにおんぶだっこという状況は変わっていないよーな……(笑)
◎一般神性呪文がほとんど使えません。また《猫目》が使えません。かわりに特殊神性呪文に《神槍》が追加されました。
◎非常にマイナーな神なので、ほとんど寺院がありません(「太陽の近侍」を探すのが冒険の目的になるかも?)。戦力的にはイェルマリオよりパワーアップしていますので、GMは「寺院が見つからないといって呪文を修得させない/回復させない」「カルトの援助を与えない」「イェルマリオ・カルトにいぢめさせる」等の手をつかって、ぞんぶんに弱小の悲哀を感じさせてやってください(笑)。
ヒーロークエストに関する記述は、Steve Maurer 氏のヒーロークエスト・ハウスルールを参考に、独自の解釈を加えたものです。
「他人のために生きる戦士」というのがコンセプトです。オーランス神殿ではあまり見られない性格のカルトですので(みんな自分勝手だからのう)、一度使ってみてください (^^) 。
このカルトの記述に当たっては、「グローランサ年代記」、「太陽領」(ホビー・ジャパン)、「Cult of Vinga」(Bryan Malony 氏の作品)、「Lies withTruth」(Codex Vol 1,No.3)「Windy Hill」(Tales of the Reacing Moon #12)、「RQ_FAQ_J.TXT」Glorantha Digestより翻訳)などを参考にしました。
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