グルームシャーク

飢えの源たる混沌神

「飢え」、「混沌」、「水」

hunger chaos water

または

「飢え」、「混沌」、「水」、「獣」

hunger chaos water beast

  1. 神話と歴史
  2.  グルームシャークは、グローランサの大洋をうろつき回る巨大な怪物である。この神はグローランサの大部分においては知られていないが、トリオニーナの子孫たちにとっては最も恐るべき恐怖の存在である。
     神知者によればグルームシャークは元々、現在もいる普通の鮫の一頭に過ぎなかった。だがスパイクの爆発後、そこに現れた吼え猛る混沌の毒気から生じ、グローランサ全域を襲った「混沌の洪水」に侵され、呪われたこの存在は大暗黒において、陸だけでなく、グローランサの海をも覆い尽くさんとした混沌の脅威の一つへと恐るべき変異を遂げたと主張されている。
     この怪物の「飢え」は留まるところを知らず、その底知れぬ胃袋は文字通りの奈落であり*1貪り喰われたものは、その魂までもがグローランサから永久に消え失せた。
     大暗黒において無数の定命のものと、立ち向かった多くの神々を貪り食ったこの怪物神は、生きて「曙」を迎え、今やグローランサの海における最大の混沌の存在であり、海に生きる者全ての悪夢である。
     「時」が始まって以降も、「大いなる盟約」に捕らわれず、世界の海を暴れ狂うこの存在を宥めるために生け贄を捧げるべく、多くの船乗りや魚人がカルトに加わった。またその中には純粋にこの神の恐るべき力を崇拝し、更なる生け贄を求めて海だけでなく陸上も荒らし回る者が少なからず存在した。
     そして第二期に入り神知者が勃興し始めると、神知者たちは彼らの海洋帝国を悩ませるグルームシャークを討ち滅ぼそうとしたが、グルームシャークはその底知れぬ飢えで神知者の放った呪いをも貪り喰らってしまった。
     だがこの失敗から、神知者たちは一部とはいえグルームシャークの力の秘密を手に入れ、その信仰を己に都合よく歪め、ワチャーザ同様彼らの帝国の軍神とした、新たなカルトを創り上げたのである。
     神知者の軍神となったことでカルトは飛躍的に大きくなったが、このカルトは自らの欲望を満たすため、神の力をただ利用し収奪するだけで、グルームシャークの飢えを満たすものを殆ど与えようとはしなかった。このためグルームシャークの果てしない飢餓は募る一方となり、遂に神は世界そのものを貪り喰らい始めたのである。
     この結果、神知者に支配された地域の大地の多く(ジルステラ、スロントス、フアム・チョウなど)がグルームシャークに基盤を食われて沈降し、海没した後その地に存在したものは、生ける者も命無きものも全てがグルームシャークの飢えを満たすべく喰らい尽くされ滅ぼされた。
     また神知者の創り上げたカルトもその破滅と運命を供にし、皮肉にも彼らの崇める神の現れることのない内陸部以外では、事実上消滅した。
     現在、この神は三つの形態で崇められている。一つはその脅威を恐れ避けるため。いま一つはその力を賛美し、積極的に敬うため。
     最後は僅かに生き残った、混沌をも利用しようとした神知者のカルトの生き残りが、今も力を求めて、見たこともないこの存在を崇めている。
     このカルトには死後の生など存在しない。信者の死体は一般的な神への捧げものであり、死後その魂はグルームシャークの底知れぬ飢えに飲み込まれる。
     グルームシャークのルーンは「飢え」、「混沌」、「水」である。神知者(そして彼らのカルト)は、この神が最初は唯の鮫に過ぎなかったと考えているために、「獣」のルーンも所有していると主張している。グルームシャークは「飢え」の源でもある。
     多くの場合、グルームシャークは魚人族のカルトの常として姿を表現されることはない。地上の人間は、多くの鰭と触手を持ち、歯を噛み鳴らす鎧のような皮膚に覆われた巨大な鮫として表現する。

  3. カルトの生態
  4.  グルームシャークという世界の海を荒らし回る悪夢の存在が消え去ることがない限り、この怪物に対する畏怖(と賛辞)を形にしたカルトが無くなることはないだろう。
     この神とそのカルトは、ルナー帝国の飼っている空の混沌の悪夢、クリムゾンバットと似ている点もあるが、一つ決定的な違いがある。グルームシャークはいかなる存在の指図も受けることはなく、その果てしない飢えに突き動かされて無秩序に行動し、世界のあらゆる海にその姿を現しては、出会ったものを自らの信徒すら、躊躇わず貪り喰うのである。
     しかし気休めに過ぎないと分かっていても、この怪物の恐怖を少しでも和らげるために、グルームシャークが煩雑に現れる海域(恐怖洋周辺が特に多い)では、船乗りや魚人がカルトに加わるか、少なくとも平信者となっていることが多い。また入信者の大半は自らの体の一部をグルームシャークへの供物に捧げている。
     グルームシャークは混沌の存在にしては珍しく、カルト外のものをそれほど敵視しているわけではない。無論、混沌カルトである上に、神知者と親しかったことから、殆どの他のカルトからは忌み嫌われているのだが、グルームシャークの方では、カルト外のものは全てが神への供物と考えているため、粗末にしないようにしているからである。
     ただ帰郷洋のみは、スパイクが爆発した後、グルームシャークの母なる混沌の虚空を塞いだことから、神代の時代より憎悪されている。とは言え帰郷洋は豊かな海ではないため、グルームシャークが姿を見せることは少ない。
     また、マリアなどと同様に、庇護を求めて入信している者がグルームシャークへの信仰を隠して、別のカルトに所属していることも多い(人間の船乗りがドーマルのカルトに入信していることは珍しくない)。
     特定の決まった聖日はない。通常、個々の寺院毎に別々の聖日を設けているが、それは大抵、その海に彼らの神が初めて姿を見せた日か、さもなくばグルームシャークが、その海の誰もが恐怖するような凄まじい破壊をもたらした日である。神知者のカルトでは大聖日は海の季、混乱の週、荒の日と決まっている。

  5. 世界におけるカルト
  6.  このカルトに政治的な権力は全くない、カルトの基本的な目的が彼らの神へ生け贄を捧げることだけだからである。とは言えカルトに所属する個人が、グルームシャークのもたらす恐怖をかさに、力を得ることは珍しくない。
     現在このカルトは、世界の海に広く存在し、混沌に汚染された海の魔物たちのカルトとしては一般的なものである。また多くの船乗りもこの神を崇め、最も邪悪で始末に負えない海賊の神の一つとしても名高いが、内陸部やグルームシャークの現れない浅い海では、この神は存在自体が殆ど知られていない。
     海中ではグルームシャークの寺院は、中寺院までのあらゆる規模で存在するが、殆どは社に過ぎない。だがグルームシャークがその海域に姿を現したときは、庇護を求めて平信者、及び入信希望者が殺到するため、寺院の規模が増大することは珍しくない。
     グルームシャークは「飢え」をひとまず満たしていれば、己の寺院を襲うことはない。だが寺院が用意したもので「飢え」を満たすことができなければ、寺院に存在するもの全てを飲み込んでしまうのである。
     このため司祭は常に、神が寺院に現れた時に備えて捧げものを準備しているが、それが不足しているようであれば、平信者から順番に生け贄として犠牲にされる。
     通常、平信者が殺到すれば、寺院の外にあるもので神の飢えを満たすことが難しくなるため、司祭はよりよい捧げものを持ってきたものから寺院に迎え入れる。
     またこのとき平信者同士で捧げものの奪い合いや、他人を生け贄にしようとして殺し合いが起きるため、寺院周辺の海は真っ赤に染まり、それがグルームシャークが捧げものを受け取るべく、寺院に確実に呼び寄せる道標となるのである。
     グルームシャークは寺院の外で出会ったものは、殆どの場合それがたとえ己の信者であろうが躊躇うことなく、その魂までしゃぶり尽くす。
     地上ではグルームシャークはそれを恐れる船乗りや、一部の凶悪な海賊にしか崇められておらず、寺院の規模はさらに小さい。加えて地上ではグルームシャークに対する脅威が殆ど感じられないため、カルトは混沌を敵視する外部のものによって狩り立てられる。
     それ故、地上の寺院の大部分は社を維持する数の入信者すらいない。だが寺院の規模を計算するに当たっては、信者の数に加えて、前の年に生け贄として捧げた知性ある生き物の数を加えるため、小寺院以上の規模を維持している寺院もまれには存在する。
     また神知者のカルトは現在、ジルステラの山の中とジュナーテラの内陸部、そしていったん滅んだ後に再度進出した一部の沿岸部にのみ存在している。
     最も近い海より百キロ以上離れた場所に寺院が存在することは、事情を知らないランカー・マイの賢者を不思議がらせるのに十分である。
     例えばドラストールの邪悪の谷(The Foulvale)にある蟲群の湿原(Bugswarm Swamp)に社が存在し、この地の混沌を蘇らせた神知者たちのカルトの生き残りが今もグルームシャークを崇めている。
     一般のカルトと神知者のカルトは敵対しており、お互いに相手を異端の教えとしている。だが実際に両者が出合う機会は皆無に等しく、特に一般のカルトの方では神知者のカルトの存在自体知らない場合が殆どである。
     社では《溺死》が教えられている。

  7. 平信者
  8.  平信者は寺院の司祭の指示に従うことを誓約せねばならない。各期の聖祝日に魔力ポイントを1点だけ残して全てを捧げねばならず、入信者が獲物を探すのに協力することを求められる。
     平信者はグルームシャークが現れたとき寺院に入ることを許されるが、通常そのために司祭の満足する捧げもの(生け贄、魔力のある物品など)をカルトに納めねばならない。
     平信者は神聖介入を試みることは出来ないが、入信者の神聖介入による恩恵を受けることは出来る。

  9. 入信者
  10.  入信を希望する知性ある鮫は、POWを捧げる必要もなく、自動的にカルトに受け入れられる。以下の制限と義務は知性ある鮫には適用されない。
     それ以外の入信希望者は、知性ある生き物一体を生け贄として司祭に捧げ、通常の入信条件を満たさねばならない。必要とされる技能は〈浄化〉、〈武器攻撃〉、〈追跡〉及び〈捜索〉である。試験に失敗すれば翌年に再度受けることができるが、その都度新たな生け贄を用意せねばならない。
     入信者は年一回の大聖日に1ポイントのPOWを自らの神に捧げねばならない。己の体の重要な一部(眼、手、性器など)をグルームシャークに永久に捧げれば、これ以降POWを捧げる必要はなくなる。こうして神への贈り物とした部位は永久に失われ、いかなる呪文(例《四肢再生》、《再生》など)を用いても回復させることはできない。
     神知者のカルトは入信時に生け贄を用意する条件も、POWを捧げる義務も、体の一部を差し出す必要もない。
     入信者は司祭の命令には従わなければならない。彼らは常に神に捧げる生け贄を求めて世界の海を荒らし回っている。
     入信者は神性介入を行うことが出来る(下記参照)、また司祭の《神託》からグルームシャークについての情報を得ることができる。

    精霊呪文:まったく教えていないが、グルームシャークのカルトは精霊、魔道呪文の使用に制限はない。通常、入信者はカルトの外から必要な呪文の知識を得るか、魔道を知っている司祭から呪文を教わる。

  11. 司祭
  12.  グルームシャークの司祭はカルトの支配者であり、己の寺院を効率的に生け贄を集める組織として編成する義務を負う。
     知性ある鮫はPOWが19以上あれば、POWを1ポイント捧げることで司祭と認められる。だがこのカルトの鮫の司祭は極めてまれな存在である。
     それ以外の司祭の志願者は二年以上敬虔な信徒であり、カルトに受け入れられてから最低三体以上の知性ある生物を生け贄としてカルトに捧げていなければならない。技能は〈武器攻撃〉、〈追跡〉及び〈捜索〉の各技能が90%、〈浄化〉を50%以上もっており、加えてグルームシャークの神性呪文を10ポイント以上持っていなければならない。
     司祭の志願者は知性ある生物一体を自らの手で用意し、生け贄として捧げつつ聖試験(1d100で[POW+これまでに捧げた知性ある生け贄の数]×2ロール)を受けなければならない。もし試験にファンブルすれば志願者は死亡し、その魂はグルームシャークに喰われる。
     司祭は各期の聖日毎に最低一体の知性ある生物を生け贄として捧げねばならず(自分で捕らえてくる必要はない)、それが出来なければ自分自身を生け贄にせねばならない。
     司祭は同盟精霊を得ることが出来る。グルームシャークの同盟精霊は通常、覚醒した鮫か鮫の歯に宿った精霊である。
     神知者のカルトは生け贄の義務はなく、それ以外で必要な条件は同じであり、聖試験は1d100でPOW×3以下である。神知者のカルトはかって同盟精霊を得ることが出来たが、現在それは極めて困難となっており、大司祭以外は同盟精霊を得ることが出来ない。
    一般神性呪文:《神託》、《聖別》、《グルームシャーク礼拝》
    特殊神性呪文:《吸収》、《グルームシャーク召集》、《グルームシャークの顎》、《溺死》、《鮫招集》、《鮫支配》、《肺/えら呼吸》、《魔力吸収》

  13. グルームシャーク特殊神性呪文
  14. 《吸収》  Absorption   1ポイント
    遠隔、残照、複合可、再使用可
     この呪文は通常の《吸収》呪文と似ているが、魔力を遮断する能力が1.5倍(端数切り捨て)になる。つまりこの呪文1ポイントで神性呪文は1ポイントしか止められないが、精霊呪文や魔道呪文なら3ポイント止めることが可能で、2ポイントでは神性呪文を3ポイント止めることが出来る。だが吸収された魔力ポイントは全てグルームシャークに送られ、術者が使うことは出来ない。
     神知者のカルトではあらゆる面で通常の《吸収》呪文と同じである。

    《グルームシャーク召集》  Call Gloomshark   6ポイント 儀式(召喚)、複合不可、再使用可
     この悪夢のような呪文は司祭にしか使えないが、入信者以上のものは儀式に参加することが出来る。この呪文によって司祭はグルームシャークに連絡を取り、儀式を行った海域へと彼らの神を呼び寄せる。
     儀式には知性ある生物を最低一体生け贄として捧げねばならず、また儀式に参加したグルームシャークの信者は好きなだけPOWを捧げることが出来る。儀式が成功した後、祈りが聞き届けられたかどうかを判定する。抽象的に解決するならば、1d100ロールで[生け贄のPOWの合計+信徒の捧げたPOW×3]以下を出さねばならない。
     ロールに成功すれば儀式を行った場所、または(もし儀式を行ったのが陸上ならば)そこから最も近い海域に、1d100時間後グルームシャークが姿を見せる。
     グルームシャークがこのときどのような行動をとるかは全く分からないが、その海域にあるもの全てに大規模な破壊をもたらすことだけは確かである。もし術者がその場に留まっていれば、生け贄の魂と同様に貪り喰われるであろう。
     もし司祭がロールに失敗すれば祈りは聞き届けられないが、それでもグルームシャークはその海域に関心を向け、近いうち(一年以内)に立ち寄るかもしれない。
     ロールがファンブルした時や、あまりに煩雑にこの呪文を使用した場合(グルームシャークが煩雑に感じる度合いは、その都度異なる。通常は豊かな海ほど呼び出せる回数も多い)、グルームシャークは術者の魂を喰ってしまう。
     もし司祭が神性介入と同時にこの呪文を投射すれば、司祭の魂は自動的にグルームシャークに喰われて消滅するが(POWが0になる)、呪文は瞬間呪文として扱われ、召喚の成功率は[神聖介入を行った時点の司祭のPOW×3]%となる。このとき生け贄の必要はない、司祭自身が生け贄である。
     神知者のカルトはこの呪文を使用することは出来ない。

    《グルームシャークの顎》  Jaw of Gloomshark   2ポイント
    接触、残照、複合可、再使用可
     この呪文はグルームシャークの入信者に対してのみかけることが出来る。これにより標的の口は鮫の歯が生えて大型化し、基本成功率[25+攻撃修正値]%の〈噛みつき攻撃〉技能を得(経験による上昇可)、ダメージは[2d8+ダメージ修正値]となる。この攻撃は通常の攻撃の3SR後に行われる。また呪文の複合毎に攻撃成功率に10%、ダメージに1d8が加えられる。
     また鮫のように、元々噛みつき攻撃が可能な生物に対して投射した場合、複合毎に〈噛みつき攻撃〉技能が10%、ダメージが1d8上昇する(ただし最低でも[2d8+ダメージ修正値]のダメージは与える)。
     呪文の持続時間中に標的が喰ったものは全てグルームシャークの胃袋に収まり、標的は何を食べても(例:毒、酸、疫病持ちのブルーなど)それによる害をうけることはない。またこれによる攻撃で受けたダメージは生物、無生物を問わず通常の呪文では回復できず、HPなら時間をかけて、APなら《鍛剣呪附》でしか元に戻せない。
     この呪文は生け贄の儀式でも使用される。司祭がこの呪文を投射した後で、生け贄を貪り喰ってグルームシャークに送るのである。
     神知者のカルトでは〈噛みつき攻撃〉のダメージは2d10、複合毎の追加ダメージは1d10となるが、喰らったものがグルームシャークに送られるわけでは無いため、有害なものを喰うことは出来ず(通常の〈噛みつき攻撃〉には問題はない)、ダメージも通常の手段で回復可能である。

    《溺死》  Drown   1ポイント
    遠隔、瞬間、複合不可、再使用可
     この呪文は空気呼吸をする標的にのみ効果がある。標的は魔力ポイントの抵抗ロールで負けると、肺が水でいっぱいになり、胸部に1d8ポイントのダメージを受ける。《えら呼吸》の呪文を使えば溺死を免れるが、既に受けたダメージは治せない。

    《鮫招集》  Summon Shark*2   1ポイント
    遠隔、瞬間、複合可、再使用可
     この呪文によって効果範囲内で術者に最も近い位置にいる鮫を呼び寄せることが出来る。呪文1ポイントの複合につき余分に一匹を呼び寄せるか、呪文の効果範囲を100m伸ばすことが出来る。

    《魔力吸収》  Power Drain   2ポイント
    遠隔、残照、複合不可、再使用可
     この呪文は、術者に接触によって魔力ポイントを吸収する能力を与える。術者は素手で犠牲者に触れなければならない:この呪文は衣服や鎧を通して働く。術者は犠牲者と魔力ポイントで抵抗ロールに打ち勝たねばならない。
     もし犠牲者が敗れれば、魔力ポイントを1d10失う。失った魔力ポイントは即座にグルームシャークに送られ、術者が使うことは出来ない。魔力の吸収は1ラウンドに一回行うことが出来る。
     神知者のカルトでは(カージョールクの同名の呪文と同様に)吸収できる魔力ポイントは1d6だが、魔力ポイントは術者が使用可能であり、持続時間が過ぎると術者の上限を超えた魔力ポイントは失われる。

  15. 友好カルト
  16. 始祖混沌
     原初の「混沌の源」は海でも地上と等しく崇められている。始祖混沌はグルームシャークに《混沌の祝福》を提供する。

  17. 付記
  18. 神性介入
     グルームシャークの神性介入は通常と異なっており、二つの効果しかない。第一は《グルームシャーク召喚》呪文と同時に行うことで、司祭の魂と引き替えにグルームシャークに祈りを届けることである。
     だが一般的には入信者がグルームシャーク自身に遭遇したとき、貪り喰われるのを避けるため神に懇願する手段として神性介入が使われる。
     この方法でグルームシャークから救われるものは、入信者一人の行った神性介入につきカルトに所属しているものが十人までだけである。平信者は神性介入を試みることは出来ないが、入信者の介入の恩恵を受けることは出来る。
     だがグルームシャークが神性介入によってどの程度の期間、信者を見逃すかは分からない。最悪の場合1戦闘ラウンドだけ見逃した後で飲み込む場合もあるのだ。
     神知者のカルトでは神性介入を行うことは出来ない。

    神託
     このカルトの《神託》はたった一つのことしか分からない。司祭は《神託》によってグルームシャークの現在位置と、その「飢え」の状態を知ることが出来るのだ。  「飢え」の状態は神がどれ程のPOWとSIZを必要としているのかで分かる。通常どちらも1000〜5000ポイント程度が、その日の「飢え」を取り敢えず満たすのに必要である。普通、グルームシャークのみでこれ程の食事を得ることは困難だが、世界中にあるカルトよりの捧げものによってこの神は存在を維持している。
     「飢え」は常に進行しており、どう変化するかは《神託》でも(グルームシャーク自身にすら)分からない。従って寺院に姿を現したときの神の「飢え」がどの程度のものか予想するのは難しい。通常はPOW、SIZともに100〜500ポイント程度用意しておけば、グルームシャークが立ち去るまでの間は宥めることが出来るだろうが、運の悪いときはこの10倍もの量が必要になるときもある。
     無論、小規模な寺院はこれ程大量の捧げものを常に用意しておくのは困難であり、グルームシャークが姿を見せたときが寺院の最後であることも多い。
     かつて神知者のカルトは《神託》を悪用し、グルームシャークの現れる海域から自分たちが逃げ出すのに利用したが、それが結果として彼らの帝国の破滅の一因となったのである。現在、《神託》の内容をカルト外に洩らしたものは、死をもって罰せられている。

    復讐の精霊
     通常、グルームシャークは背教者(神が現れたとき寺院から逃げ出したり、《神託》を外部に洩らした入信者、その他カルトの定めた義務を果たさなかった者)に対する報復行為を信者達の手に委ねているが、時折グルームシャーク自ら手を(口を?)下すこともある。
     背教者は、その体から腐った魚の強烈な悪臭を発するようになる。この腐臭は背教者自身やそれに近寄ったものに猛烈な不快感を与えると同時に、報復者や血に飢えた鮫、そして何よりグルームシャーク自身を呼び寄せる道標となるのである。

    グルームシャークの「飢え」について
     グルームシャークはクリムゾンバットと同様に、己を維持するために膨大なエネルギーを必要としているとされているが、それが不足したときどのようなことが起きるのかは分かっていない。
     クリムゾンバットは生け贄が不足すれば、物質界での存在を失い、英雄界に戻らざるを得なくなることはよく知られているが、グルームシャークは常に物質界でのみその存在を認識されている。
     グルームシャークのカルトでは、彼らの神が飢えれば世界そのものを喰らい、それが神知者の滅亡の原因となったと教えているが。これはグルームシャークの脅威を知らない地域では、受け入れられていない意見である。
     もしグルームシャークの「飢え」が世界の滅亡にまで繋がるのであれば、なぜこの神は現在行っている程度の破壊で満足しているのであろうか?
     何人かの学者は、単にこれまでカルトが十分な生け贄を用意し続けたために、この神が存在を維持できただけだと説く。そこでもし「飢え」を満たす生け贄を得られなければ、グルームシャークもクリムゾンバットと同様、大いなる盟約の力により英雄界に引き込まれると主張する者もいる。
     また別の意見としては、この神は生け贄の不足を煩雑に引き起こし、英雄界に幾度と無く引き下がっているのだが、英雄界で出会ったもの全てを喰らっているため、誰もそれを知らないのだと述べる説もある。その学説では英雄界に戻る度に、グルームシャークはカルトの秘術によって召喚されているとしている。そしてこの怪物が己の信徒や寺院をも貪り喰って暴れ回るのは、餌が少なく、苦痛に満ちた物質界に、カルトの都合で無理矢理召喚されたのを憎んでいるからだと説いている。
     それ以外の有力な学説では、この怪物の「飢え」は、炎が燃え広がり、水が高いところから低いところに流れるのと同様の自然現象であり、いかなる手段でも癒やすことは出来ず、通常の自然現象同様にただ「飢え」が存在するだけで、それがグルームシャークの形をもって動き回っているのだとされている。その説によるとグルームシャークがものを喰らうのはエネルギーを得るためではなく、ただ己の発する「飢え」に突き動かされているだけに過ぎず、たとえ何も食べずともその存在に影響はないと考えているのだ。

    *1 胃袋は文字通りの奈落であり
     英語で「動物の胃袋」を意味する”maw”は「奈落」、「引きずり込んで破滅させるもの」という意味もある。

    *2 《鮫招集》  Summon Shark
     《鮫招集》は英文(「Lords of Terror」より)では《Summon Shark》であり、これはこれまでのルーンクエスト一般の訳文からすれば《鮫召喚》と訳するべきである。また通常《〜招集》と訳されるのは《Call〜》である。
     だがグローランサ内的世界の生物である鮫が「召喚」されるのは不自然と考え、トゥサンクス神性呪文の《バラクーダ招集》(英文では《Call Barracuda》である)の鮫版と判断した。

作者のあとがき
 このカルト紹介は作者が「Lords of Terror」の断片的な記述より推測したものであり、AH社のオフィシャル設定とは殆ど何の関わりもありません。無論、今後発表される資料に反映されることもありません。もし正式な資料が発表されたら(こんな超マイナーカルトが紹介されるのか?)そちらを優先してください。
 これまでに知られている、事実上唯一の海の混沌カルトですので海の冒険を行うときには適当な敵方となるでしょう。また内陸部にも存在しているので新たな混沌カルトとして使ったり、神知者の遺跡がらみの事件に絡めてもいいでしょう。
 なおこの資料の使用は各ゲームマスターの責任に於いて行ってください。

作者:北村 賢志


その他のカルト