The Cult Of GYZAR

MASTERY ガイザー HARMONY

拳の主、武器の破壊者

  1. 神話と歴史
  2.  時の始まる前、嵐の時代、嵐の神々と若き神々が、征服により彼ら自身の領域を作り始めるつれて対立が起こり始めた。
     彼らに対抗するのはより古い、火/空、大地の神々であり、両者は多くの破壊と困難を起こし、支配をめぐる争いを欲しいままにした。そしてすぐに定命の者は生き残るため、神にすがるようになった。
     これを見て、彼らを助けた小さな神の一柱がガイザーであった。だれも彼の父親を知らないが、彼の母親はユーレーリアを除く誰よりも美しいと言われたラエリア(Raelia)である。ガイザーは若き神の一柱であったが、彼は争いの結果を恐れた。彼は宇宙に平和をもたらそうとして、オーランスとイェルムに話を持ちかけたが、両者ともにべなくはねつけられた。全ての神の中で、チャラーナ・アローイと彼女の息子のアローインのみが、ガイザーの言葉に耳を貸した。だが、女神は受動的で、その信念に固執して、行動することを拒否した。しかしガイザー信徒は、後に宇宙の苦境を救うべく女神に行動をするように仕向けたのは、ガイザーの苦難に満ちた行動によるものだと信じている。
     神々の戦争による破壊を止められず、彼は定命の祖父の子孫にどのように自分自身を守るべきか教え始め、返礼として彼らの崇拝を受け入れた。そうすることで、彼の望みである、かつての平穏な時、黄金の時代を取り戻すことができると信じていたからだ。
     だが運命は残酷だった。彼の希望を知ったものは、彼を「世間知らず」と呼んだ。しかし多分、運命のその時まで、彼は希望を持っていただろう。予知能力は神の特質ではなかった。そしてただ肉体を持つ男だけが大惨事が来ることを知っていた。
     フマクトが「死」の力を発見し、定命の祖父にそれを使った時、ガイザーはすべての神々の中でもっとも衝撃を受けた一柱であった。その後、オーランスがその力を手に入れ、イェルムを殺したのである。
     その結果、ガイザーの最も恐れていたことが現実となった。肉体を持つ男の支離滅裂な予言は当たった、そして二度と黄金時代に戻ることはできなかった。
     盲目的な激怒と苦しみで、ガイザーは多分、自分が死ねばグローランサを覆った小暗黒を見ないで済むであろうと希望し、オーランスとフマクトの兄弟に対して立ち向かった。だがオーランスは傲慢にも彼を嘲笑った。
     「なんだ、お前のような矮小なるものが再度吾に刃向かおうというのか?偉大なる力を持つ吾にか? イェルムを倒した今、宇宙最高の存在である吾にか? 笑わせるな!お前のようなものは恐怖とともに宇宙から消え失せろ!」
     そう言いながら、彼はガイザーを激しく打ち据え、彼をひどく傷つけた。けれどもフマクトは奇妙にも沈黙を守り、ガイザーに対して手を上げなかった。
     この時受けた傷が原因でガイザーの力は弱まった。「死」の力とそれを運んだ武器に対する嫌悪感のため、彼はすべての攻撃用の武器の使用を禁じることを誓った。
     彼はドワーフによる鎧の発明には反対した、なぜならそれはやはり武器であり、ガイザーの積極的な抵抗と対照的な、攻撃的武器に対する消極的な抵抗だからである。
     多くの定命の者が同じく武器の力を恐れており、ガイザーは己の信奉者達に、他人には最小限の苦痛で自分自身を守る手段を教えた。その多くは後に自らの恐れを克服し、そして彼らの苦しみの元であった武器を捨てた。少数の神とより少ない定命の者が新しい武器無しで、大暗黒と混沌の到来から生き残ることができた。
     長く厳しい混沌戦争が終わり、「光持ち帰りしものども」がイェルムを復活させて地獄から戻り、「時」が始まった。ごく少数の生き残ったガイザー信徒は「曙」を見た;彼らの大半は比較的破壊の少ない地域に住んでいた。
     時の到来によって、神はある特定の制限にて彼ら自身を律し、そして世界を定命の者に任せた。この時期、多くの者がこれ以上の争いがないであろうと感じ、そして本当に新しい黄金時代が身近にあるように思われた。多数の定命の者が、ガイザーの(本当ではなかった)平和主義カルトに受け入れられ、カルトはそれまで無かったほど栄えた。これらの新しい礼拝者の大部分が人間であったが、しかしエルフ、ドワーフと、少数のモロカンス礼拝者さえ存在したことが知られている。まあ無理もないことだが、トロールがカルトの構成員として記録されたことはない。
     もちろんこのような望みは誤っているとはっきりした。そしてグバージによる争いが広まった時、ガイザーの信者は減少し始めた。より平和主義色の薄い信者は、トロールとドラゴニュートの側に立ったが、武器を取ることを拒否した大部分は虐殺された。アーカットの軍隊がラリオスとドラゴン・パスを通して広がった時、ガイザー信者は両方の軍隊の手によって大いに苦しめられた。
     彼らはいかなる時も評議会を支持しなかった。なぜならガイザー信徒には、評議会の神の時代に戻ろうとする試みが、同じように神の戦争を再来させる危険があると感じていたからである。これのために彼らは、まるで他の種族と民族であったかように、第二評議会によって迫害された。
     彼らは少数派のカルトになった状態で第二期を迎えた。
     ラリオス、影の地(エスロリア)、そしてドラゴン・パスにただ三つだけ寺院*1が存在することを知られていた。「一なる老翁」がエスロリアの寺院を、彼が支配した人間の住民を静めるために奨励したと伝えられている。それが本当に彼の動機であったか否かは分からない。しかし奇妙なことに、寺院は若干のトロールによる援助を受け。三つの寺院の中でもっとも大きくなった。
     ドラゴン・パスの寺院はそれほど幸運ではなかった。ドラゴニュートを弁護した罪により「真性黄金軍団」によって1100年に完全に全滅させられた。ドラゴンキル戦争まで生き残った礼拝者は一人もいなかった。そしてそれが起こった時、すでに彼らを救うには遅すぎた。パスに人間が戻ってきて以降、寺院の廃墟(近代のダンストップの近く)は孤独な信者達が時折巡礼に訪れる場所である。
     そこで彼らはしばしば、失われた記録と遺品を捜している。
     ラリオスにおいて、寺院は暗黒帝国とジルステラの軍隊からの独立を維持するには十分な力を持っていた(そして十分離れていた)。にもかかわらず、寺院の領域はしばしば被害を受け、寺院は力を落としたまま第三期に入った。
     第三期はガイザーのカルトにとって悲惨さの程度が少しはましになった。
     ラリオスの寺院は東からやってきたトロールの軍隊に対し、戦うことを拒否する変わらぬ美徳によって生き残った。人間の行動と彼らの誠実に驚き、トロールの指導者はジオーラ・ウンバー女祭の弁護に耳をかたむけて、人間を容赦した。
     おそらく、これは影の大地の寺院と「一なる老翁」の政策の影響があるのだろう。より大きな理由がトロール軍隊の重要な将官であったトーカグ・ゴア(Torkag Gor)に対し、ルーン王“石の拳の”ミーリア(Myrila Stonefist)によって行われた勝負の成功である。「髪の結び目と布の切れ端だけの服」で、彼女は一対一の闘いを挑み、この力強い戦士を破った。トロールはこのような挑戦を行う「いかれたやせっぽち」に対しては例外的な敬意を見せるのである。
     影の大地の寺院は幸運ではなかった。ペリンターの到着によって起こされた大変動に巻き込まれ、寺院は「トロールに敵対する人間の軍隊を援助していた」と主張する略奪者のトロールの一群によって破壊された。この主張の真実は不明である。破壊にもかかわらず、多くの礼拝者が生き残り、寺院は決して再建されなかったが、生き残りの一部は今日でもそこで見いだされる。
     近代に入って、このカルトは些細な原因で衰退していった。いくらかの者はそれが絶滅寸前であると考えている、そしてもし第三期の終了が前の二つの期と同じぐらい暴力的ならばそうなるであろう。それ以外の者たち(特に信者自身)は、定命の者はより平和な世界を望んでいると信じており、エスロリアにいるちりぢりの礼拝者は、年古りた廃墟に建てられた社に年に一度集まるのだ。
     ガイザー信徒は彼らの神の「武器への憎悪」を信奉する者は死後「待ち人の地(Place of Waiting)」*2に行くと信じている。そこから、彼らはより穏やかな生活の中に生まれ変わる。武器から離れて、彼らが新しい黄金時代でガイザーと一つになるまで、生命の循環を通して、さらに彼ら自身を浄化し続けるだろう。自分自身を浄化し損ねた者は、彼らの文化に充満する武器の悪を完全に拒絶するまで、暴力的な生命の果てしない輪廻の中で罰を受けるであろう。
     ガイザーのルーンは自己の制御を意味する「支配」と、平和へのたゆまぬ努力及び「黄金の時代」の再来を意味する「調和」である。

  3. カルトの生態
  4.  ガイザーのカルトは、対立が流血によって解決されるべきではないと、最も強く考えるものの信念の中心として存在する。
     もし平和が一般の生活範囲で達成可能ではないなら、少なくとも非業の死を受け入れなければならない訳ではない。絶対の平和主義、あるいはただ(同じぐらい武器に反対の)組織の本当の力を信じるものは、ここで慰めを見いだすかも知れない。
     聖日は「調和の週」の「神の日」である。大聖日は聖祝期の初日である。

  5. 世界におけるカルト
  6.  カルトは主としてラリオス東部に存在するが、そこでも全く政治的権力をもっていない。
     軍事的には、防御のために寺院に住む、学徒とその主による小さい集団だけで支えられている。危機においては、すべての崇拝者を呼ぶことができた、しかし現在そこに生き残っている信者の状況を考えると、それを行えるか否かは疑問である。
     カルトは絶対的な平和主義から、単純な武器嫌いまで広範囲の信念を持っている。盟約にかかわらず、フマクトとオーランスが、特に神代の時代の行動のため軽蔑される。
     ルナー帝国もそうである、なぜならそれはシミターの切っ先による征服で成り立つ帝国だからである。あらゆる戦闘志向のカルトは嫌われる。フマクト信徒の争いの儀式は、野蛮なうそ、偽りの制限を示すことによって暴力のために武器の使用を合法化する、程度が低い試みであると考えられている。
     ドワーフはその死の武器を設計する性癖のために、大変嫌悪されている。
     治癒と生命に特別に献身するカルトは、カルトの個人による守りが必要とされる。チャラーナ・アローイとジオーラ・ウンバーはガイザー信徒にとって特別な存在である。
     社では《石の拳》が教えられている。

  7. カルトの組織
  8. カルト内の組織
     寺院がたった一つしか存在しないから*3、組織があるとは言い難い。エスロリアのいずれかの寺院を再建する話があったが、財源が欠けている。もしこれが達せられるなら、寺院の規模はゲームマスター次第である。大司祭*4の相対的な指導力の強さは、ラリオスの寺院に偏重しており、恐らく問題の決定はそこで行われるであろう。

    寺院内の組織
     組織の中心は大司祭である。目下、寺院の大司祭は二人の司祭と二人のルーン王によって支援される。「学徒の主」(Master of Students)が(戦闘能力に関して)これらの中で最も強力である。同じく彼らの信念を広めようと試みて静かに田舎をあてもなくさまよう少数のルーン王と司祭も寺院の大司祭に報告を行う。

    力の中心、聖地
     信仰の中心はラリオスの寺院であり、これはかつての暗黒帝国の北部にある。影の大地、鍛冶屋石の西にある、寺院の残骸にしばしば巡礼が行われる。ドラゴン・パスにある第三の寺院の廃墟も同様である。他にも多くの社が失われるか、破壊されている。伝説ではかって北ペローリアに存在した四番目の寺院が「壊れた評議会」の魔術によって破壊されたと言われている、しかしその痕跡はこれまで全く見いだされておらず、それを明らかにするヒーロークエストも行われてはいない。

  9. 平信者
  10.  混沌でないあらゆる知的生命は平信者になることができる。
     人間、エルフと大半の獣人は平等に扱われる、しかしモロカンスは彼らに対する厳しい見方を克服せねばならず(APP−10)+(POW×2)以下を1D100でロールせねばならない。トロールに対するカルトの偏見は彼らの残忍な文化のため、さらに悪い。ジオーラ・ウンバーとアーガン・アーガーの信者以外、上の方式を使うが、さらに成功率は半分(端数切り上げ)になる。ジオーラ・ウンバーとアーガン・アーガーのカルトのトロールは通常と同じ条件で平信者になることができる。ドワーフはモロカンスと同じ条件が適用される。
     平信者は決して混沌を崇拝してはならない。彼らは、聖日毎に1魔力ポイントをガイザーに捧げ、寺院に5ルナー あるいは同等の価値のある物品を納めねばならない。
     彼らは次の季節の間、武器で(混沌以外の)生物を攻撃しないことを誓わなくてはならない。食用動物とたいていの知覚力がない植物は、食料と道具に必要な範囲で、利用することが認められている。
     一生武器を使用しないことを誓ったうえで、100Lを支払えば永久的な平信者になることが出来る。もし永久的な信者がその覚悟の不足により教義に反する行為を行うなら、彼は疑いなく一、二度説教されるだろう。もし彼が再び武器を使用すれば、彼は地位を失い、そして決して入信者になることは出来なくなる。彼は再び平信者になってもよい。二度武器を取るようなことがあれば永久にカルトから追放される。
     平信者は一季節毎に最も近くの入信者あるいはルーンレベルの者に治癒を求めてもよい。彼らは危機にあるときは二週間まで寺院に居住し、食事を受けることが出来る。平信者はもし自身が脅威に直面しているなら、援助の依頼をしてもよい、しかし援助の中身はそれを行う者次第である。
     平信者は有料で〈拳攻撃〉、〈蹴り攻撃〉、〈回避〉の訓練を受けることができる。平信者は通常の価格で以下の呪文を獲得できる。
     永久の平信者は《鉄の手》以外の武器を強化する魔術は忘れなければならない。
    精霊呪文:《鉄の手》《防護》《かすみ》《治癒》《筋力》《活力》

  11. 入信者
  12.  入信者になることを望む者は二年間、評判のよい永久的な平信者でなければならない。志願者は(POW+〈回避〉+〈(任意の)読み/書き〉)÷2の聖試験に合格しなくてはならない。試験に合格すればガイザーにPOWを1ポイント捧げる。志願者は試験を受ける毎に司祭に(最低でも100Lの価値がある)贈り物をせねばならない。もし聖試験に失敗しても、評判のよい平信者である限り、次の期に再度挑戦することができる。
     入信者はカルトに10分の1税を納めねばならず、そしてすべての聖日に2魔力ポイントをガイザーに捧げねばならない。入信者は武器を使用したり、持ち運んではならない。この例外は、盾とスタッフだけであり、それでも〈受け〉のみが許され、〈攻撃〉を行うことはできない。彼らはプレート、スケール、ブリガンディン、チェインの鎧を身につけてはならない。
     入信者は仲間の信者からの(特にルーン王や司祭からの)援助の要請全てに常時注意を払わなければならない。
     入信者は「心」や「拳」の許可無くオーランス、フマクト 、イェルマリオ、ゾラーク・ゾラーン、ヤーナファル・ターニルズ、ストーム・ブル、あるいは混沌カルトの入信者以上の者と承知の上で話をしてはならない。このような行為を「汚染」と呼ぶ。彼らはチャラーナ・アローイの信者を常に敬意と尊敬を持って遇せねばならない。入信者は生涯に一度は、少なくとも一年をかけて巡礼を行い、教えを必要としている残虐な世界に、ガイザーの信念を広めなければならない。
     入信者は寺院から保護を受けることが出来るが、寺院の役職に任命されていないならそれは永久のものではない。カルトは信者の財産に関わらず500Lまで身の代金を支払う。彼らはガイザーに年に一度だけ援助(神性介入)を求めてもよい。他の利益は平信者と同じだが、以下の通り、より重要なものである。
     入信者は〈回避〉、〈拳攻撃〉、〈蹴り〉、〈ジャンプ〉、〈雄弁〉、〈盾受け〉、〈スタッフ受け〉、〈護身術〉の各技能を一年に80時間自由に訓練できる。無論、通常の価格で訓練を受けることも可能である。入信者にはカルトの訓練場における優先権がある。入信者はカルトによって作られ、厳重に監視されている特殊な戦闘技能〈叩き込み〉、〈矢留〉も教えられる。この二つの技能は入信者(そしてそれ以上)の者にしか教えられない。
     どちらの技能も基本成功率は0%である。最初の訓練にはそれぞれ二週間を要する。入信者の最初の技能値は15%+技能ボーナスである。
     入信者はそれぞれ次の精霊呪文のリストから五年毎に1ポイント自由に獲得し、また標準の価格で購入することもできる。また「ガイザーの拳」の獲得できる神性呪文を1回限りで入手できる。
    精霊呪文:《かすみ》《防護》《鉄の手》《抵抗》《鈍剣》《治癒》《筋力》《活力》《機敏》

  13. ガイザーの拳(ルーン王)  Fist of Gyzar
  14.  「ガイザーの拳」は(非暴力主義とは区別される)対暴力の哲学の生きた見本である。彼の義務は世界に破壊と武器による死の必要が無いことを証明し、可能ならばいつでも穏やかな解決を見いだすことである。それが不可能なときは、最小の流血でことを解決する方法をとるべきである。そしてこの哲学により、彼らはしばしば小さないざこざの間に入るのが見いだされる。彼らの積極的な役割のために、部外者はしばしば、どちらかといえば司祭よりも「拳」を、カルトの指導者と思いこむが、それは本当ではない。最高の責任は司祭にあり、彼らの言葉が法である。
     ルーン主の志願者は、少なくとも二年間、入信者であり、そのうち一年は入信者の項で記述された通りの巡礼を行っていなければならない。
     志願者は〈護身術〉、〈叩き込み〉、〈矢留〉、〈回避〉の各技能が90%以上でなければならず、加えて〈拳攻撃〉、〈蹴り攻撃〉、〈ジャンプ〉、〈雄弁〉、〈スタッフ受け〉、あるいは〈盾受け〉のいずれか一つが90%以上必要である。志願者は少なくともPOWが15以上であり、加えて平信者及び入信者の時に一度も誓いを破ったことが無ければならない。もしこれらの条件すべてが満たされるなら、(〈護身術〉+〈叩き込み〉)×2÷5以下を1D100でロールせねばならない。もし失敗すれば成功するまで季節毎に一回試験を受けることができる。
     ガイザーのルーン王は一年の内、一季節は「学徒の主」*5が無料で平信者と入信者に技能を教えるのを手伝って過ごさなくてはならない。
     もし「拳」が寺院の近くに住んでいないのなら、寺院以外の場所で教えるのは認められる。「拳」は入信者以外の誰であろうと〈護身術〉、〈叩き込み〉、〈矢留〉技能を教えることはなく、(入信者の項に挙げられている)ガイザーに嫌悪されているカルトに技能を教えてはならない。
     もし「拳」が「フマクトの剣」に出会ったなら、フマクト信徒の行う決闘に類似しているが、意識不明になるまでではなく、最初の血が流れるまでの、勝負を即座に挑まねばならない。もし「拳」が勝てば、「剣」の最も良い武器を取り上げるであろう;もし「剣」が勝つなら「拳」は僕となり、次の季節の間(カルトの誓約を破ること以外の)彼の命令すべてに従わなくてはならない。もちろん「剣」は、決闘を断ってもよい。「ガイザーの拳」が勝ち取った武器は溶かされる。この習慣のため、ガイザー信徒はフマクト信徒に大変嫌われている。
     ルーン王はスタッフ以外の武器とバックラー以上の大きさの盾を所有してはならない。彼らは混沌をのぞくあらゆる生物に、致命的な損害を起こす攻撃呪文(即ち《破裂》のように耐久力ポイントにダメージを与える呪文)をかけてはならない。彼らは皮かクリルブイリ以外の鎧を身につけてはならない。
     チャラーナ・アローイの「癒し手」に出会ったなら、「拳」は助力が必要とされるかどうかを尋ねなくてはならない。もし彼が援助の依頼を受けたなら、その危険が何であろうと、自分の能力を尽くしてそれを実行しなくてはならない。実行する前に、他のものから手助けを得ることは当然許される。
     上記の他に、「拳」は収入の90%をカルトに納めなければならず、カルトの司祭の命令には従わなくてはならない。
     ガイザーのルーン王は同盟精霊を得るが、ガイザーの同盟精霊は通常スタッフである。「拳」は神性介入を1D10で行うことができ、鉄を使用することもできる。「拳」は司祭を目指して修行を続けてもよい。
     「拳」が受ける世俗的な利益として寺院において部屋と食事得ることができ、2000L(彼ら自身で出せるもののほかに)の身代金がカルトから支払われ、呪文が無料で与えられる。彼らはすべてのカルト技能と〈自分自身の母国語読み/書き〉も自由に訓練を受けることができる。「拳」は、殆どのカルトのルーン王と同様に鉄を手に入れることは出来ない。彼らは必要ならば、他の信者に援助を求めてもよい。
     「拳」は再利用可能で次の神性呪文を得る。「拳」は「心の王」だけに制限されていない司祭の呪文を(一回限りで)得てもよい。
    特殊神性呪文:《盾》《石の拳》《ビネースの手》《ビネースの足》《目覚め》《第六感》

  15. 心の王(司祭) Mind Lord
  16. ガイザーの司祭は「心の王」として知られている。己の体を生ける武器とする訓練の後に、今では自らの内面を、己の心を浄化し強化するために探る者たちである。「心の王」は暴力に対する信念の最高の化身である。司祭の義務は自分自身と同様に世界の武器による汚れを洗い流すことである、しかし、この点の狂信者ではない。
     自分の周りの世界がその暴力的な循環にきつく呪縛されていることを悟り、彼はそれをカルトの教えによって導き、そして可能である時はいつでも、適切な助言を与えるのである。「心の王」は非友好的な世界におけるカルトの生き残りに関して責任があり、それらとの関係に対する最終的な決定を行う権限がある。
     ガイザーの司祭希望者は少なくとも三年間は入信者かルーン王の地位を勤め、少なくともPOWが18なければならない。希望者は決して己の地位に伴う義務を破っていてはならず、誠実でもなければならない。希望者は〈母国語読み/書き〉が85%以上なければならず、そして一般の司祭の条件を満たし、加えて〈雄弁〉が90%なければならない。もしこれらの条件が満たされているなら、志願者は通常の聖試験を受けなければならない。
     ガイザーの「心の王」は「拳」と同じ武器と鎧の制限がある。彼はカルトを指導する責任があり、己の会衆の健康に気を配らなければならない。しかしながら、ガイザーは世界が敵対的であることを知っており、そしてそれ故に寺院はまわりの世界とは違って組織化される。通常他のカルトでは、司祭によって行われる管理上の任務の多くが、ガイザーでは高位の入信者によって行われており、そのため司祭は己の技能を実践する時間の余裕がある。
     その結果として、司祭の戦闘技能(〈叩き込み〉と〈矢留〉を含む)は通常のDEX×3ではなく、DEX×5に制限される(元からDEX×5より高いならそのまま)。非戦闘技能は通常通り、制限されている。
     ガイザーの司祭はカルトによって支援される。彼らは常に最初に食事を行い、そしてすべての入信時の贈り物を受け取る。
     司祭は同盟精霊を受け取り、加えてカルトのルーンを表した金具を付け、地位を表すために魔術のルーンを彫り込んだ、鉄製のスタッフを与えられる。
    一般神性呪文:《カルト精霊支配》を除くすべて
    特殊神性呪文:《盾》《石の拳》《ビネースの手》《ビネースの足》《目覚め》《第六感》《小精神防御》《中精神防御》《信徒命令》《大精神防御》《緊張症》

  17. ガイザー特殊技能
  18. 〈叩き込み〉 Xu-ram  攻撃技能(00%)
     この技能は追加の代償無しに、すべてのガイザーの新しい入信者に教えられる。この技能の成功により、《鉄の手》呪文がかかっていようと、〈護身術〉で手加減した攻撃をかけることができるようになる。
     効果的成功をロールすれば、標的の命中した部位を麻痺させることができるようになる。もし腕に命中すれば、持っている物を取り落とさないためSTR×3をロールせねばならない。そしてSTRロールが成功するか否かに関わらず、その腕で攻撃や受けを行うことができなくなる。足に命中すればその部位の耐久力が0になったものとして扱う。頭部、胸、あるいは腹部への打撃は標的にショックを与え。〈攻撃〉や呪文の投射を不能にし、〈受け〉の成功率は半分になる。上記の効果のすべてが2D6ストライクランク続く。
     決定的成功の場合、他の効果に加えて1D6ラウンドその部位は麻痺する。決定的成功の打撃を頭部に与えた場合、ダメージが幾らであろうと、標的は(25−CON)ターン意識を失う。
     一回のロールで三つの技能(〈拳(または蹴り)攻撃〉、〈護身術〉、〈叩き込み〉)すべての解決を行う。

    〈矢留〉 Xu-rai  運動技能(00%)
     この技能によって、自身から1メートル以内を通過する、小さい発射物をそらすか、掴むことが出きるようになる。発射物のENCは1.0以上であってはならず、物質的存在でなければならない(つまり《魔の矢》の矢は、本物の矢のみが有効で、魔術的なものには効果がない)。行動の早さ故、燃えていたり、《火の矢》のかかった飛び道具からは四分の一のダメージだけを受ける。
     効果的成功の場合、もし望むなら、発射物を手で掴むことができる、しかしそれを行うときはロールする前に宣言せねばならない。
     決定的成功の場合、ルーン鉱により作られていない発射物は粉々になる、あるいはキャラクターは事前の宣言なしに(上記の通り)掴むことができる。
     この技能の使用は一回の〈攻撃〉や〈受け〉には数えない、しかし〈攻撃〉や〈回避〉と同じストライクランクで使用する事はできない。
    追記:以上の文は技能を使用するキャラクターが攻撃が来ることを知っており、そしてそれが前部あるいは側面からと想定した場合である。
     ゲームマスターは状況次第で知覚系技能または、DEXロールを要求する、あるいはそれが明らかに不可能なときはこの技能の使用を拒否することができる。

  19. ガイザー特殊神性呪文
  20. 《石の拳》 Stonefist  1ポイント
    接触、持続、複合可、再利用可
     この呪文は複合毎に標的の〈(拳または蹴り)攻撃〉のダメージに1D3を加え、〈叩き込み〉と〈護身術〉の技能が5%増大する。

    《ビネースの手》 Hands of Bineah  1ポイント
    接触、持続、複合不可、再利用可
     この呪文により標的は、テルモリのような、通常は武器強化魔術か、ルーン鉱の武器を必要とする相手に対し、素手でダメージを与えることができるようになる。また標的は《魔の矢》呪文によって出た、非物質の飛び道具をそらすことができるようになる(もちろんそれらを掴むことはできない)。

    《目覚め》 Awaken  1ポイント
    術者の周辺10m、目覚めさせられるまで、複合可、再利用可
     この呪文は術者が眠る前に投射される。(盗みを含めた)敵対的な意志をもつ何者かが10m以内に接近すれば、直ちに術者の目を覚まさせる。追加のポイント毎に術者の10m以内で眠っているガイザーのルーンレベルの者か入信者を目覚めさせることができる。
    《ビネースの足》 Feet of Bineah  2ポイント
    接触、持続、複合不可、再使用可
     この呪文は術者の〈回避〉技能を二倍にし、さらに罰則なしに追加の〈回避〉を行えるようにする(即ち術者は〈回避〉を二回行い、一度〈攻撃〉か〈受け〉を行う。あるいは一度〈回避〉を行って〈攻撃〉と〈受け〉を一度ずつ行うか、〈攻撃〉と〈受け〉のどちらかを二度行って〈回避〉を一度行うことが出来る)
     余分の〈回避〉は通常通り分割してもよい*6

    《第六感》 Sixth Sense  3ポイント
    自身、持続、複合不可、再使用可
     この呪文は術者の感覚を拡大して、その視界に関わらず、あらゆる方角から術者を襲う、飛び道具あるいは接近戦を関知できるようにし、術者が正面からの攻撃に回り込んだり、後方からの攻撃を回避するのに十分な警告がもたらされる。これは《暗闇の壁》あるいは類似の呪文を使って、不意打ちしてくる相手にも同様の効果があるが、その場合は術者に警告を与える以上の意味があるわけではない。この呪文は術者が起きていて、意識を保っていなければ効果はない;これは寝ている者を起こす呪文ではない。

    《小精神防御》 Minor Mind Block  1ポイント
    自身、持続、複合不可、再使用可
     この呪文により、術者は精神や神経系に影響を与える精霊呪文(《消沈》、《惑い》、《機敏》、《早足》その他)から守られる。術者(または術者に呪縛された精霊や、同盟精霊)は術者自身にこのような呪文を投射する事が出来る。
     《小精神防御》が投射されたときに、術者にかかっていた呪文の効果はそのまま残る。

    《中精神防御》 Lesser Mind Block  2ポイント
    自身、持続、複合不可、再使用可
     この呪文は《小精神防御》と同様に術者を守るが、《麻痺》や《制圧》のような魔道呪文にも効果がある。

    《信徒命令》 Command Worshippers  3ポイント
    儀式(召喚)、範囲100km、複合不可、再使用可
     この呪文はあらゆるカルト構成員に影響を与える。この呪文を合図として、範囲内の全てガイザー信徒は自らの仕事を終え、2〜5日(距離によって異なる)の内に術者の元に集合する。この間、術者は同じ場所に留まっていなければならない。もし動けば呪文の効果は破れ、信者は集合する義務から解放される。この呪文はラリオス寺院の大司祭と少数の巡礼中の司祭にだけ与えられる。この呪文は大いなる特権であり、緊急時か、めでたい祭り、あるいは巡礼中の司祭が信者に礼拝儀式の実施を告げる時以外に使用してはならない。

    《大精神防御》 Greater Mind Block  3ポイント
    自身、持続、複合不可、再使用可
     この呪文は、前の二つの《精神防御》呪文と同じように働くが、術者がほとんどの精神や神経系に影響を与える呪文の効果を受けなくなる点が異なる。この呪文の対象となる呪文*は以下の通りである(ただしこれだけに限定されているわけではない)《調和》、《眠り》、《惑い》、《消沈》、《狂気》、《恐怖》、《精神破壊》、《読心》、《街の調和》、《自白》、《命令》、《麻痺》、そしてエレメンタルの恐怖及び狂気攻撃。霊的な結合はこの呪文の効果から保護されている。この呪文はサナターの《精神吸収》と《生き首》呪文に対して効果はない。

    《緊張症》 Catatonia  3ポイント
    自身、目覚めさせられるまで、複合不可、一回限り
     この呪文は術者の精神を、元に戻すために安全な場所で8時間かけて適切に儀式を行うまで、完全な虚脱状態にする。
     儀式を行うとき、その司祭は浄化ロールに成功せねばならず、呪文の効果の下にある司祭はINT×5ロール以下を出す必要があり、失敗すれば術者の精神は再度、表に出てくることを拒絶する。神聖介入はこの状態の司祭を救う唯一の方法である。
     この呪文により、サナターの知識を盗む儀式や呪文は全く効果がなくなる(切断された頭は、やはり切断された頭ではあるが)。司祭の精神は、知られている呪文、あるいはその組み合わせでは全く影響を与えられないほど、深く沈み込む。術者この間《大精神防御》の影響下にあると考えるが、この呪文は神経系は防御せず、ただ頭脳と心だけを守る。従って《調和》、《麻痺》呪文は昏睡状態の司祭に影響を与える。この呪文の影響下にある術者は、通常胎児形体をとるだろう。ガイザーの司祭だけがこの呪文を得ることができる。

  21. 下位カルト
  22. ビネース・トーム (BINEAH TOOM)
     この第一期の英雄はグバージ戦争の間、ドラゴニュートと並んで戦った。彼はその名前を冠した二つの呪文の源である。

    復讐の精霊:ラタラン・シャー (RATALAN SYR)
     カルトを去るか、あるいは禁止された武器を使う入信者とルーンレベルの者は、最後の犯罪の日から一年間、この精霊に妨害される罰を受ける。ひどい違反のケースでは、罪人は精霊によって、神秘的な攻撃を受けると同時に、すべての神性魔術を失うであろう。ラタランは、罪人の戦闘中いつでも、その靴/足部に特別な《にかわ3》を投射する。これを回避することは出来ない。
     より小さい違反の場合、精霊は彼の防御呪文に 対し《呪払8》を投射するであろう。この場合、罪人が犯した罪の一件毎に出現するが、戦闘毎に精霊が現れる可能性は50%である。

  23. 友好カルト
  24.  ガイザーに友好カルトはない。

  25. 付記
  26. 彷徨う司祭
     「心の王」は巡礼以外では大抵寺院にいるが、あてもなく彷徨う司祭も、特にエスロリアでは、珍しい存在ではない。寺院の役職に就いている司祭さえ、遠い国へ巡礼を行うためしばしば一、二年にも渡って寺院を離れる。しかしながら、第二期以降、ドラゴン・パスより東あるいは北に行ったものは誰もいない。

    他地域におけるカルト
     この記述ではもっぱら北の大陸(今日までケイオシアムとアバロンヒルによる出版物によって取り上げられている事実上すべての場所)を扱ったが、いくつかの寺院が世界の他の地域に存在すると信じられる。
     これらの大部分がパマールテラの人間の区域と東部にある、しかしそれは本文の目的を越えているため記述しない。

    訳者の補足
    1. 本文の記述からすれば、社も含んだ全ての寺院という意味ではなく、小寺院以上の規模の寺院ということらしい。
    2. 恐ろしいことに、サナター信徒の魂が死後行くところと同じ!(なわけないだろう!!)
    3. 上記1と同様、小寺院以上の規模の寺院ということらしいが、一般神性呪文まで全て得られるとすれば、ルール上は中寺院以上の大きさでなければならない筈である。
    4. 大司祭は複数存在しているらしいが、ラリオスの寺院以外の大司祭はどこにいるのか不明。複数の社を束ねている司祭のことを言うのだろうか?
    5. ラリオスの寺院以外に「学徒の主」がいるのかどうか不明だが、個々の社毎にルーン王が(「学徒の主」とそれを手助けをする側)の複数存在するとは思えない。
    6. 〈回避〉が100%をこえた場合に二つに分けることを意味していると思われる。従って呪文投射後でも〈回避〉が100%未満であれば分割不能だろう。

訳者の解説

 このカルト紹介は第2版用に作成された原文に訳者が第3版用として修正を加えたものです。聖日や社で教えている呪文などは原文に存在せず、又、原文では入信時にPOWを捧げる記述も存在しないため、これらは訳者の独自の判断による追記です。もし訳文などに誤りが存在してもそれは訳者の責任であり、著者には何の関係もありません。
 一番大きな変更点は原文では司祭はすべてルーン王からの昇格だったのを、第3版の一般のカルトにあわせて入信者からも直接司祭になれるようにしたことです。
 このカルトは「完全平和主義を唱える、徒手空拳の強力な独立戦闘集団」という、古代中国の「墨子」のような連中です。間違っても「ガン〇ムウ〇ング」の方ではありません。墨学がその過酷さ故に滅びたのと同様、衰退の道を辿っているようです。
 しかし社よりも大きな寺院が世界に一つしかないという超弱体カルトにもかかわらず、神性呪文が多すぎる。友好カルトから呪文を得ることが出来ないとは言え、このカルトより明らかに規模の大きいワッハやマリアは勿論のこと、イェルムに匹敵する(!)ほど呪文が多いのはいくら何でも異常です。
 大半の呪文を得られる所が世界に一箇所しかなく、社も殆どないので実際にはそんなに多数の呪文を得ることは出来ないでしょうが、この点は少々バランスを欠いているのではないかと思われます。
 ただ本文中の記述から明らかな通り、技能や魔術は強力でも、PC向きのカルトではありません。制約が厳しいのはまだ良いとしても、特にオーランスやフマクト、ストーム・ブルと同行できないのでは、まともなパーティーを組むことは難しいでしょう。
 NPCとして使うならば、PCの足を引っ張らせるちょっとした障害物、またはパーティーにチャラーナ・アローイ信徒がいるのなら、その護衛をさせることになるでしょう(しかしこれだけチャラーナ・アローイに尽くしても、相手の方では友好カルトとすら見てくれていないのは悲しすぎる)。
 なお誤訳、もしくはよりよい訳文がありましたら訳者に御連絡をお願いします。

著者 Charlie Domino
訳者 北村 賢志


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