The Master SAMURAI

− The Master SAMURAI −
マスターサムライ−士道不敗−

ヴォルメインの武士道の神
ルーン:死・真実・禊

  1. 神話と歴史
  2.  オーランスのイェルム殺害により、世界に暗黒(小暗黒)が訪れた。
     ヴォルメイン(ヴォルメインは西方人がヴァルゼインの名と混同した事による名であり、ヴォルメインの者は自らの島々を扶桑と呼ぶ)とて例外ではなかったが、黄金の時代に天空より下り、ヴォルメインを統治していた女王であり、イェルムの妹神(もしくは血縁)である女神ヴァルゼイン(万世姫妃)は、兄イェルムが宵の門に去る途中に落としていった太陽の力のかけらを拾い集め、自らの治めるヴォルメインの地に太陽の力の幾ばくかを与え続け、恐れおののき、あるいは利己主義しか知らぬヴォルメインの神と定命の物に多くの恵みと、正しい知恵をもたらした。
     だがそれも長くは続かなかった。
     ゾラーク・ゾラーン(緋闇)がやってきたのだ。彼は多くの「死」をもたらした。ヴォルメインにとって「死」とは大いなる「汚れ」であった。そしてゾラーク・ゾラーンはついにはヴァルゼインをも殺害した。
     これが最初の「死」の来訪である。
     後にマスター・サムライ(士道不敗)と呼ばれる英雄(もしくは神)はこの戦場にて常にヴォルメインを脅かす驚異と戦い続けていたが、その武勇を持ってしてもこの災いと「汚れ」を止めることは出来ず、彼は自責と怒りに身を震わせていた。
     そんなときに真の剣を求める旅路の途中であったフマクト(求剣神)とトリックスターが、別々にヴォルメインの地にやってきた。
     マスターは、海の向こうから漂着してきたトリックスターからフマクトこそが「死」の力をグローランサにもたらし、ヴォルメインを「汚れ」で満たした元凶であると告げ口された(ヴォルメインにはこのように、海の向こうから様々な災いや恵みがやってくるという神話、伝承が無数にある)。マスターは怒り、フマクトに戦いを挑んだ。
     だが、敗北した。しかしスターは七度フマクトに挑戦し、真実の力により「死」を「汚れ」より浄化させる術を戦いの中で学びとり、七度目にしてフマクトの持つ、かりそめの剣を叩き折った。そしてフマクトもマスターの力と名誉をを認め、再び去っていった。
     以後、マスターは戦において不敗の者となった。
     そのころヴォルメインのある神は水の中から「禊」のルーンを発見し、マスターにもそれを伝えた。かくしてマスターサムライは「死」を名誉の道によって「汚れ」から浄化する神となった。
     ヴォルメインの神々は一致団結し、暗黒の神々に対して反撃を開始した。このころには侵攻してきた神々も混沌との戦いに主軸をおいており、ついにはヴォルメインの地から立ち去った。
     その後「光持ち帰りし者」がヴァルゼインら死んだ神々を連れ帰った際、ずたずたになったヴォルメインを「光持ち帰りし者の運河」で繋いだ。そして、「網の儀式」においてはヴォルメインの神々は「運河」に「禊」のルーンの力を流し込み、「死」を浄化し新しい生命の流れを出迎えた。

     歴史時代に入る際、マスターは八人の弟子に自らの全ての技を伝授し、彼ら八人は「サムライ(侍)」と呼ばれる戦士階級の開祖となった。なお、ある神知者は、マスターとは単一の存在ではなく彼ら八人の総体だと言う説を唱えている。
     「侍」たちは名誉の道を持って君主に仕え戦った。神知者のヴォルメイン進行をくい止めたのも彼らである。
     しかし歴史が始まって以来、マスターのカルトはヴォルメインの地理的特徴も手伝って無数の分派に別れていった。

     ヴォルメインの神々のルーンは、通常のルーン記号ではなく「漢字」を用いいる。これはヴォルメインのルーンの体系が「コトダマ(言霊)」と深く結びついていることによる。マスターのルーンは「死」「真(真実)」「禊(ミソギ)」である。

    クラロレラ在住の神知者ジャールの東方神話論文(ST803)より編纂


     現在のヴォルメインは、ヴァルゼインの祭司王「オオキミ」の不在と、各地の豪族達の争いによって戦乱の状態にある。それはすなわち、「侍」たちの活躍の場でもある。

    聖王国カーシーの灰色卿サーリスによる注釈(ST1624)

  3. カルトの生態
  4.  このカルトは開祖が挑戦し、自力で技を学びとったフマクトのカルトに似通っており、名誉を重んじる。ただフマクトと大いに異なるのは、彼らの名誉は戦いと同時に、特定の主君にも捧げられた物であるという点である。また、このカルトには「死と蘇生の禁止」の制約はないが「加護と制約」も存在しない。
     主君達は殆どがヴァルゼインとその下位カルトである地方神のルーン王であり、戦の場においては士道不敗のカルトの入信者、もしくは友好カルトとして戦闘用の呪文を提供されて戦う。
     このカルトは、死の力をふるう者として忌まれるが、同時にその力により頼りにされ、高徳さにより尊敬され、名誉の道によって死の汚れを取り除く。
     このカルトは、女王ヴァルゼインのカルトの指揮下にある。同じヴォルメインの神である海賊神トゥサンクスとは険悪な関係にあるが、このカルトは幾分非合法ではあるが海運や海軍力でもあるので、一概に敵対しているとも言えない。ヴォルメイン外部のカルトに関しては無視をしている。ただし、暗黒と混沌の勢力とは常に敵対しており、特にゾラーク・ゾラーンは最大の敵である。
     カルトの聖祝日は真実の週の死の日。大聖祝日は海の季である。

  5. 世界におけるカルト
  6.  このカルトは西方で言うところの騎士にあたる「侍」を育成、維持する。侍は多くの場合は世襲であり、主君に忠誠を誓うことを求められる。ただし、戦乱の時期には階級の固定制は流動的になり、名誉と忠誠の道はその道徳的強制力が衰える。
     このカルトは名誉を重んじる。なぜなら、このカルトにとって、名誉こそが死から汚れを取り除く方法なのだから。
     また、このカルトには分派が非常に多く、各自が何らかの名を名乗っている。これらの分派はカルトの開祖である八人の侍から派生した物である。
     また、主君に属さない侍もいる。彼らは「浪人」と呼ばれる。浪人になる理由は幾つかある。主君の滅亡、仇討ちの途中、主君の怒りに触れて追放されたか、不名誉な行いをしたものの《切腹》の儀式から逃亡したなどが代表的な原因である。また、自らの武技を頼りに天下を渡り歩く剛胆な浪人もいる。冒険者としての侍は多くはこの浪人である。

  7. 入信者
  8.  侍の家に生まれた物は、成人の折りに1ポイントのPOWを捧げれば自動的に入信できる。そうでない物は、己の高徳や武技を示した上で、ルーン王や高名な入信者である侍、あるいは主君を説得する必要がある。ルール的にはルーンクエスト標準のルールで〈剣攻撃〉〈乗馬〉〈浄化〉〈槍攻撃〉の試験を行う。
     侍は主君に使えている場合、主君の軍役の命令に応じる必要がある。収入と時間の10%はその際に費やされるが、これを越える負担を求められた場合には交渉や抗議を行える。ただしこれが聞き入れられるかどうかはまた別問題である。
     主君を持たない場合も、何らかの形で時間と収入の10%をカルトへの奉仕に費やさねばならない。
    精霊魔術:《鋭刃》《破裂》《熱狂》《霊話》《敵の検知》《治癒》《防護》 《修復》《筋力》《活力》

  9. 達人
  10.  達人はいずれも士道不敗のカルトの司祭にしてルーン王である。
     達人への就任試験は聖祝日に行われ、達人になるには、過去一年にわたって入信者として評判の良い者でなければならない。また、浄化に50%以上の技能を有していて、加えて以下の技能の内4つが90%以上でなければならない:
    〈剣攻撃〉〈槍攻撃〉〈武器攻撃〉〈武器受け〉〈雄弁〉〈乗馬〉〈視力〉〈応急手当〉〈(刀)製作〉。なお、この4つの技能の内一つは必ず〈剣攻撃〉か〈槍攻撃〉でなければならない。その上で試験を行うが、1D100でPOW×5以下を出す必要がある。
     達人になったなら、主君や師匠、家の者から特別にあつらえた2本の反り身の呪鍛された鉄の剣「刀」と「脇差」を与えられる。これらは「侍の魂(SAMRAI SPRIT)」とも呼ばれる。加えて穂先と柄を呪鍛された鉄で作った槍を与えられることも多い。
     達人は主君を持っている場合、主君に従わなければならない。ただし主君が目に余る不正を行った場合等には、公式の場における《神託》で理非を明らかにすれば、その主君の下を離れることを許されるが、よほどのことがない限りそのような神託はおりない。むしろ、他の主君に、その者と旧主の血縁関係などを理由にして乗り換えることが多い。
     逆に、自らが目に余る不正を行った場合《神託》が行われ、もし神の意志がそうであれば、〈切腹〉の儀式によって自害し、その魂の浄化を神にゆだねなければならない。〈切腹〉を拒否したなら、達人としての地位と特典は全て失う。
     主君を持たない達人は、独立した道場を開くこともある。また、一種の傭兵団のような集団を率いることもある。
     達人は以下の神性魔術を特に指定のない限り再使用可で使える上に、神性介入を1D10で行える。

    一般神性魔術: 全て
    特種神性魔術: 《神剣》《盾》《誓言》《名誉検知》《切腹》《青銅呪鍛》《鉄呪鍛》

  11. マスターサムライ特種神性魔術
  12. 《誓言》 Oath
    2ポイント、儀式(呪付)、一回限り
     これはフマクトの《誓言》と同じ物である。

    《士道検知》 Detect Bushidou
    1ポイント、儀式(浄化)、再使用可
     この呪文は標的一人が武士道に照らして名誉ある人間かどうかを術者に知らせる。ただしこの呪文は、武士道と大きく異なったアイデンティを持つ者に対しても、武士道を基準にして判断してしまう。

    《切腹》 Harakiri
    3ポイント、儀式(浄化)、再使用可
     この呪文には二通りの使い方がある。
     一つは、不名誉な行いにより死を宣告された侍の自害の儀式での使用である。まず、切腹を行う場所にこの呪文を投射する。そして、死を宣告された侍一人がその場で定められた作法に従って腹を切り、介錯人に首をはねられるか、出血などで耐久力が0になるかして死亡することによって儀式は完成する。
     この儀式は、死の世界に向かう侍の魂の不名誉を清めることにより、カルトの道を外れた死の世界に魂が迷い込むことを防ぐ。
     もう一つの使い道は、《ゴースト解放》の代用である。
     この場合、対象となるゴーストを縛り付けている物に対して儀式を行った後、そのゴーストと魔力の抵抗ロールを行い、勝ったならゴーストを死者の安息の地(もしくはしかるべき場所)に送ることが出来る。この儀式は通常、精霊戦闘でゴーストを無力化した後で行われる。

  13. 刀と脇差
  14.  刀と脇差は、ヴォルメイン独特の製法によって鍛造される刀である。
     刀は片手、両手の両カテゴリーの剣として、脇差は小剣として扱う。刀はバスタードソードに似た扱いを受けるが、異なるのは、刀はブロードソートと同様に突刺武器としても使用可能である点である。また、刀と脇差はダメージが同クラスの武器に比べて高く設定されている。また、刀と脇差は鉄を素材としてのみ鍛造され、他の材質でこれらの特性を持たせることは出来ない。
     しかしここで留意すべき点がある。刀と脇差はその性能を維持するために、通常の武器以上にこまめに手入れされればならず、その上それは通常の〈(武器)製作〉でなく、〈(刀)製作〉によって行われる必要がある。もし通常の〈(武器)製作〉で整備をしたいのなら、刀についてよく学んだ上で、−50%で判定する必要がある。したがって、刀についてシロウトの一般人や西方人が手に入れたからといって、侍の真似事は簡単には出来ないのである。また、冒険者として異境の地に旅立つ侍も、この技能と呪鍛の修復のための《鉄呪鍛》を持っておいた方が賢明である。

    名称 ダメージ SR STR/DEX 基本% ENC APダメージタイプ 価格
    1D10+3213/11052.020切裂/破砕 か 突刺5000
    脇差1D6+337/ 7051.018切裂/破砕 か 突刺3000

  15. カルト特種技能
  16. 〈(刀)製作〉
     刀と脇差の製作、整備を行うための技能である。

  17. 下位カルト
  18. 復讐の精霊
     このカルトの復讐の精霊が送り込まれるのは、背教者が武士道に反する目に余る行いを続けた場合である。その場合には、その背教者の卑劣な行為の犠牲者や、祖先のゴーストが派遣され、攻撃を仕掛ける。

    分派

  19. 友好カルト
  20. ヴァルゼイン:ヴォルメインの女王は、マスターに《太陽槍》を再使用可で提供する。
    フマクト: フマクトのカルトはヴォルメインには存在しない。神話時代における好敵手との関係は、フマクトのカルトに殆ど知られることはないが、その関係を説明しフマクトへの《神託》によって認められたなら、その地における活動の援助と、再使用可の《神剣》の提供を受ける。

 追記

 これは私のキャンペーンでグローランサ東方での冒険を扱う際に製作したものです。実の所、東洋セッションを行うにあたって、私は途方にくれていましたが、そんなときに見たのが『機動武闘伝Gガンダム』の東方不敗マスターアジアでした。「見よ!東方は赤く燃えている!!」「ハメルンの笛吹き!」「超級覇王電影弾!!」これらのブラウン管での活躍の数々は私に強烈なインスピレーションと方向性を与えてくれました。これに『サムライスピリッツ』や『花の慶次』等の荒唐無稽なアクションを主柱に据えた時代劇をイメージにおいて一気に書き上げたのが、このハウスルールカルトです。
 従ってこれを使ってくださる場合には堅苦しい武士道など考えずに、「俺は天下一の歌舞伎者」「精進がたりんわ!」「これでも喰らいな!」「一つ、二つ、三つ、猪鹿蝶!!」「石破天驚拳!!」等と叫びながら使ってください。



著者:上西将文(NIFTY-Serve KGH06212)
ルーンクエストはホビージャパン社の登録商標です。

 この作品はルーンクエストの公式資料ではなく上西将文が個人使用するために作成したものですこの作品の使用は本作品の末に明記してある範囲内で自由ですが、それによるいかなる損害の責任も著者は負いません。

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